コアなファンに支えられたセガの名機・メガドライブ! 名作タイトルの思い出が今、蘇る

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公開日:2020/10/3

メガドライブコンプリートガイドデラックスwithマークⅢ
『メガドライブコンプリートガイドデラックスwithマークⅢ』(レトロゲーム愛好会:編/主婦の友インフォス)

 1980年代の後半から2000年代にかけて、いわゆる「家庭用ゲーム」業界は大きな盛り上がりを見せていた。任天堂の「ファミリーコンピュータ」やソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション」など名機と呼ばれるハードも多く生み出されたが、中でもコアなファンの記憶に残るハードが「メガドライブ」ではなかろうか。

 このゲーム機は1988年にセガ・エンタープライゼスから発売され、セガのアーケードゲームが多く移植されたためセガファンからの評価は高い。そしてそのような人々のために『メガドライブコンプリートガイドデラックスwithマークⅢ』(レトロゲーム愛好会:編/主婦の友インフォス)が、満を持しての登場だ。

 本書では「メガドライブ」とその前身である「セガ・マークⅢ」のタイトルを、パッケージ写真とともに全タイトル紹介。さらにその始祖ともいえる「SG-1000」のタイトルまで取り扱っている、まさにパーフェクトな1冊だ。正直に告白すると、私はユーザーではなかったのだが、振り返ってみれば意外と思い出はあるもので、本稿では当時の記憶を辿りつつ、印象に残ったタイトルを紹介してみよう。

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ファンタシースターⅡ 還らざる時の終わりに(1989年3月21日発売 メーカー/セガ)

メガドライブコンプリートガイドデラックスwithマークⅢ p.16

 私がまだ受験生であった頃、予備校帰りに友人宅へ足繁く通っていた時期があった。その友人は割とブルジョアで、当時珍しかったPCなどを所有していたからだ。その中にメガドライブもあり、友人からオススメとして渡されたのが本作だった。このシリーズは現在でもオンラインゲームが存在するほど人気が高く、本作もシリーズ屈指の傑作RPGと評価されている。

 実際、魅力的なキャラクターや硬派なSFストーリーで楽しかった記憶があるが、実は最後までクリアできなかった。難しかった…からではなく、RPGはソロプレイであり、ひとりでメガドライブを占拠することが許されなかったのだ。だから本作を少しプレイしたあと、複数人プレイ可能な「スーパー大戦略」を皆で楽しむという流れに。そのため友人宅に通い詰めてプレイしていたが、絶対的に時間が足りずクリアには至らなかった。ところで試験はどうなったか? …それはまあ、お察しで。

チェルノブ(1992年10月16日発売 メーカー/データイースト)

メガドライブコンプリートガイドデラックスwithマークⅢ p.95

 この作品はアーケードゲームが初出なのだが、ゲームセンターで初めて目撃したときは驚いたものである。なぜかといえば、設定が「原発事故に巻き込まれた炭鉱夫が特殊能力に目覚め、ナゾの組織に狙われる」という…。

 タイトルや設定を見れば、当時なら誰でも「チェルノブイリ原発事故」を想起するだろう。当然のごとく、この作品は世間から非難を浴びることになるのだが、それでもメガドライブで移植作が登場。やはりというか、設定はアーケード版から一変し、「妹を助けるため特殊スーツをまとって闘う」というヒーローものっぽい感じに。ちなみにゲーム自体は正統派の横スクロールアクションであり、設定以外はマトモだったのである。

 セガのハードにはコアなファンが多く、私の友人も「セガ・マークⅢ」から「ドリームキャスト」まで、他のハードには目もくれずに揃えていた。セガは家庭用ゲーム機製造、販売の事業から撤退して久しいが、令和の時代に新たな「セガ」ハードを見てみたいと願うファンは少なくないと思えるのである。

文=木谷誠