「早くしなさい」の“呪い”で子どもの自己肯定感が大沈下! 今すぐ使える“魔法のことば”で親子の自己肯定感をアップ

出産・子育て

公開日:2020/10/13

子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(石田勝紀/集英社)

 子どもが支度に時間がかかって「早くしなさい!」。思うように勉強してくれないから「勉強しなさい!」。毎日のようにかけてしまいがちな言葉ですが、じつはこれ、子どもの自己肯定感を下げてしまう“呪いの言葉”だそうです。

『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(石田勝紀/集英社)は、2018年に刊行されてから口コミで広がり、ついに発行部数4万5千部を突破した子育て本。学習塾や講演会などでのべ5万人以上の子どもたちを指導し、テレビなどでも話題の石田勝紀さんが、子どもの自己肯定感を高めるための言葉がけを伝授する1冊です。

 著者の石田さんが多くの子どもたちに触れてわかったのは、「子どもの自己肯定感は勝手にはつぶれない。親の言葉によってつぶされている」という現実だったといいます。長所のない子どもはひとりもおらず、その長所を生かすかどうかは親の言葉がけ次第。では、子どもの自己肯定感を高め、将来の可能性を引き出すには何が必要なのでしょうか。

advertisement

自己肯定感が高い子、低い子の違いとは?

 自己肯定感とは、著者いわく「自分のことを価値ある人間である、素直に大切な存在であると感じる心」のこと。自己肯定感が高い子どもは、失敗をおそれず進んで勉強できる、他人に対して寛容で他人の言葉にむやみに傷つかない、などの共通点があるといいます。まさに「こんな子に育ってくれたら…」と思うような理想像。親が心配する“いじめ”などにも巻き込まれにくいのでは、と感じます。

 いっぽう、自己肯定感が低い子に共通するのは、「どうせ無理」「やっぱりできない」と自分を否定し、相手に対しても「うざい」「むかつく」などのネガティブな言葉が多いこと。成功体験が少ないために失敗することや傷つくことを恐れ、新しい体験を前にしてもすぐに逃げ出してしまうし、人間関係でも心が折れやすいのだそう。これでは何かと心配です…。

ゾクッ! 「呪いの言葉」を自分自身に置き換えると…?

 ちなみに、呪いの言葉とは、子どもにどれだけの影響を与えているのでしょうか。次の記述には、ドキッとするのを通り越してゾクッとしました。

「なんで毎日洗濯しないんだよ。するだろう、普通は」
「テレビばっかり見てないで、早く食器洗えよ」

 親の自分が夫やパートナーから言われたと仮定した言葉です。まさに「呪い」としか思えない破壊力。楽しみを奪われ、さらに傷つけられて、こんな毎日ではまったく楽しくないし、やる気も出ないでしょうね。

あるがままの子どもの姿を「認める」魔法のことば

 だからといって、子どもに日常生活のルールや勉強の習慣を教えることが不要なわけではありません。そこで、呪いの言葉ではなく、子どもに声がけしたいのが、著者が提案する「10の魔法のことば」です。

 子どもの才能を伸ばしたいときに著者が提案するのは、「すごいね」「さすがだね」「いいね」という3つの言葉です。拍子抜けするほどシンプル。ですが、すぐに覚えられるし、使いやすい言葉だと思いませんか?

 知っておきたいのは、これらの言葉がけが「褒める」のではなく「認める」行為だということです。親から「あるがまま」を認められた子どもは、楽しい努力を重ねるようになり、グングンと才能を伸ばしていくのだとか。ただし、くどくどと言わないことがポイント。「軽く、明るく、さりげなく」伝えたほうが言葉に無理がなく、子どもを飽きさせることもなく、真意が伝わりやすいそうです。

子どもの成績を「ジャッジ」するのはNG!

 さまざまなシチュエーションで活躍しそうな言葉ですが、注意点として、「すごいね」「さすがだね」は勉強面では使ってはいけない、と著者は教えてくれます。たとえば、子どもがテストで100点をとったとき。ここで「さすがだね」と認めると、テストで高い点数をとらないと親から愛情を受け取れないのだ、と良くないプレッシャーを与えてしまうかも。

 この場合、「いいね!」を使うのが◎。点数に対して「ジャッジ」するのではなく、その努力を単純に認めるつもりで。すると、子どもは自分の存在を肯定され、尊重されていることを実感するそうです。魔法のことばとはいえ、使い方を間違えてしまったら台無しだし、逆効果になってしまうことも。「あるがままを認める」ことがヒントになりそうです。

 ちなみに、教育者である著者によれば、勉強は好奇心を持って楽しく進めるもの。むやみにがんばっても、いずれ点数は落ちていくのだそう。いかに子どものやる気を出させるのが大事なことかが伝わってきます。

子どもに期待せず、信頼することで、やる気を引き出す

 そのほか、本書の第3章「悩めるママたちの相談室」では、リアルな悩みがQ&A形式でたくさん紹介されています。たとえば、「『勉強しなさい』を封印しても成績が下がるいっぽう」というママからの相談。これに対して著者は、「期待を手放し、いったんあきらめること」を勧めています。あきらめる、とはどういうことでしょうか?

 その答えは、「信頼すること」だといいます。こういったケースでは、「勉強しなさい」と言葉にしなくとも、それを感じさせるような態度をとっていることが多々。耳の痛い話ですが、だからこそ成績に期待することをやめて、子どもに勉強を任せること。決して放っておくわけではなく、子どもが本当にしたいことを一緒に考えることも大事。そうすると子どもは、親が自分の好きなことを理解して、サポートしてくれることがわかり、同時に、興味のあることに取り組むには勉強が不可欠なことに気づくのだとか。子どもへの信頼が、子どもの自主性をグッと高めることに繋がるようです。

 本書は、まだ勉強を始めていないような未就学児との向き合い方の参考にもなります。我が家では、「おためし2週間、くらいの気持ちで」という著者の言葉にならって、魔法のことばである「ありがとう」を4歳の息子に日常で使うようにしました。すると、保育園への登園や着替えを喜んでしてくれるように! 驚くのは、その場ですぐに息子の態度が変わったことです。もっと早くに知りたかった…!

 ほかの「魔法のことば」にも、知っておきたい現実がたくさん。親の言葉が変われば子どもが変わる。自己肯定感が上がれば学力も上がる。そんな教えを肝に銘じて、普段の言葉がけを工夫していきたいと思います。

文=麻布たぬ