「ワグナリア」の騒がしい面々が帰ってきた！ 『WORKING!!』生誕15周年を皆で祝おう

　スクウェア・エニックス発行の漫画雑誌『ヤングガンガン』に2005年から2014年まで連載された人気作品『WORKING!!』。アニメにもなり、連載終了後も後日談が掲載されるなどファンに愛された作品であるが、15周年となる2020年、突如として『WORKING!! 15th 15周年で大感謝・全員大集合スペシャル!!! WEB版WORKING!!もあるよ』（高津カリノ/スクウェア・エニックス）が発売された。突然のスペシャルコミック発売に驚いたファンも多いと思うが、それだけ読者の支持が熱い作品であることの証明だともいえる。

　この『WORKING!!』は、ファミレス「ワグナリア」で繰り広げられる従業員や客たちのドタバタ騒動を描いた作品。もともとはWEBサイトで描かれていたが、後に『ヤングガンガン』で連載されることに。WEB版とヤングガンガン版は世界観を同じくする別作品で、それぞれがアニメ化されている。そして今回発売されたアニバーサリー本は、両作品のキャラクターが集まるお祭り企画で、ファンも満足のコンテンツが満載。本稿では本書の見所を、独断と偏見によってピックアップしてみたいと思う。

結構いっぱいあった！　単行本未収録漫画を再録

『WORKING!!』のコミックスは全13巻に後日談が1巻、『WEB版 WORKING!!』は全6巻が刊行されているが、実は単行本に掲載されている漫画がすべてではない。コミックスの販売促進用に描かれたり、雑誌の付録用に描かれた漫画があったりなど、コミックス未掲載の作品が存在するのだ。もちろんそれらすべてを見たことのあるツワモノもいるだろうが、ファンならばやはり単行本として手元に置いておきたいと考えるのは当然。無論、見たことのない人ならば「こんなモノがあったのか！」と新たな感動を味わえるのは確実なのである。

やっぱり嬉しい！　描きおろし漫画などスペシャル本用の特別コンテンツ

　このテのスペシャル本でお約束なのは、やはり作者による「描きおろし漫画」だろう。当然、本書においてもそれは間違いなくメインコンテンツであり、後日談では描かれなかった内容が語られる。ネタバレのない程度でいえば、『WORKING!!』編はなんと「あのキャラクターに恋人が!?」というお話。割と多くのメインキャラクターがカップル成立している作品ゆえ、そういう意味では対象も限られてくるが、実に気になるところだ。また描きおろしとは別に、作者である 高津カリノ氏への「15の質問」やアニメキャストたちのメッセージなど、充実の内容なのが嬉しい。

　本書ラストの作者のあいさつに「不死鳥のような作品」と書かれている部分があった。終わっては復活するようなサイクルだったことから来ているようだが、別の見方をすれば、いつ復活してもおかしくないということかもしれない。それにはやはりファンの熱い声援が必要なわけで、皆がこの作品を忘れないでいれば、いつか新たな「ワグナリア」が不死鳥のごとく誕生する……と思ってしまう今日この頃なのである。

文＝木谷誠