「カンブリア宮殿」でも反響! 食の女神が提言する「本当においしいもの」を見つけるための習慣

暮らし

公開日:2020/11/9

裏を見て「おいしい」を買う習慣
『裏を見て「おいしい」を買う習慣』(岩城紀子/主婦の友社)

 子どもたちには安心・安全な食品を食べてもらいたい。そうは思っても、いざ買い物に出かけると、ついつい値段の安いものばかりを選んではいないだろうか。

 そんな人は、この本を読んで、一度自分の食品の選び方を見直しても良いかもしれない。その本とは、『裏を見て「おいしい」を買う習慣』(岩城紀子/主婦の友社)。2020年5月21日放送の「カンブリア宮殿」でも大反響を呼んだ食のセレクトショップ「グランドフードホール」を運営する岩城紀子さんによる1冊だ。

 岩城さんは日々あらゆる食品を食べ比べ続けるテイスティングのトップアスリート。職業柄、あらゆる食品を試食しているが、岩城さん自身、食べたものによって体調が如実に変わることを実感していると言う。数万種類のものを食べ比べて分かったのは、本当においしいものとは、体に悪いものを排し、創意工夫や努力をいとわず作られているもの。岩城さんは、その見つけ方、日々の食卓を豊かにする方法を教えてくれる。

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 あなたは、自分が普段食べているものの正体をどのくらい知っているだろうか。たとえば梅干し。ちゃんと塩漬けして、ちゃんと天日で干した梅干しは本来腐らないはずだが、量販店で売られているものの多くは、数カ月で腐ってしまうそうだ。その理由は、減塩梅干しが人気で塩を減らしていることにあるという。塩を減らすと腐りやすくなるが、大量販売の現場では保存性が大前提。そこで保存料などの添加物を入れ、さらに崩れた味のバランスを調整し、梅干しっぽい味にするために酸味料や甘味料が追加されている。岩城さん曰く、梅干しに限らず、一般的に食品は「本物」から遠ざかるほど、値段が安いのだそうだ。

 岩城さんは、何も「絶対に本物を買いなさい」と言うわけではない。本物は決して安くはないし、どこでも手に入るわけではない。何を食べてもいいが、自分が食べているものの正体は知ってほしいと言うのだ。身につけてほしいのは、食品を選ぶ前に「裏を見る」習慣。裏側のラベルには、原材料や製造方法が書かれており、食品がその値段で売られている理由が分かる。私たちの体に何を入れているのか、毎日のことだから考えてほしいと言う。

 たとえば、塩で「イオン膜、立窯」と記載されているものは、精製塩などに代表されるように工場で作られた塩で、ミネラル成分が取り除かれてしまっていると岩城さんはいう。みりんには、「みりん風調味料」というのがあるが、これは「本みりん」とはまったくの別物で、ブドウ糖などの液体に調味料などを混ぜて作られたものだそう。みそは、酒精やアルコールを添加して麹菌を不活性にしているものがあるが、一方で「容器が多少膨張することがあります」などの注意書きがあるみそには「生きているみそなんですよ」というメッセージが込められている。…こんな風に岩城さんにならって「裏」の情報をひもといていけば、本物を見つける方法がだんだんと分かってくる。

 今の食生活、すべてを変えるのは不可能だろう。だけれども、大切な子どもたちのために「裏」を見ることは習慣付けたい。安いものには理由があるように、高いものにも理由がある。この本とともに、「本当においしいもの」を選ぶために、できるところから始めてみてはいかがだろうか。

文=アサトーミナミ