「独身なんてうらやましい〜」とマウントを取られたら? 元銀座No.1ホステスの不毛なマウンティングのかわし方

暮らし

公開日:2020/11/3

自分を傷つけずに不毛なマウンティングをかわす力
『自分を傷つけずに不毛なマウンティングをかわす力』(水希:著、藤見よいこ:イラスト・漫画/KADOKAWA)

 リア充アピール、マウンティング、押し付けがましい上から目線…。世の中には、面倒くさい人たちが山ほどいる。正直、彼らの話はモヤモヤ・イラっとするばかりだ。

 しかし、距離をおいたり、縁を切ったりするわけにもいかない微妙な人たち…社会を生きる上で、面倒と分かっている彼らとのお付き合いをゼロにはできない。せめてどうにか上手くかわす方法はないものか。その対処法を示したのが『自分を傷つけずに不毛なマウンティングをかわす力』(水希:著、藤見よいこ:イラスト・漫画/KADOKAWA)である。

 著者で心理カウンセラーの水希さんは、かつて銀座のホステスで指名No.1だったというキャリアの持ち主。はっきりとした格付けがなされる女の世界に身をおき、セクハラや上から目線の男性客を相手にしてきた。その経験に基づいた、効果的な対処フレーズ満載の本書は、かなり実践的な内容だ。

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マウンティングにモヤモヤするのは自分のせい?

 SNSの普及により、最近では対面でなくても「かまってほしい」「注目されたい」「わかってほしい」気持ちを一方的にぶつけられる機会が増えてきた。

 ネットでも対面でも、彼らの発言にモヤモヤ…。これは話を止められず、スルーもできない自分が弱く、悪いのだろうか。

 本書の答えは「ノー」である。そもそも彼らがマウントや上から目線の発言をする背景には、ねたみや自信のなさ、不安などがあるという。モヤモヤさせられる側は、相手が感情やストレスを発散したいだけの会話に付き合わされているだけなのである。

 とはいえ、だからといって相手に直接「うるさい」「黙れ」というわけにもいかない。そこで本書では「人間関係を守りつつ、思いを表現する=かわすスキル」を伸ばしていこうという。

面倒くさい人たちの対処法は…同じ土俵に立たないこと

 たとえば、結婚をした友人の「独身なんてうらやましいわ〜、こっちは毎日家事と子育てで大変なのよ〜」(p.123)という発言にモヤモヤしたとしよう。この場合、本書では「大変ですね〜」と“相手が期待しているお決まりのフレーズで終わらせる”というかわすスキルを紹介している。

 もうひとつ、会社で有給休暇を申請したところ、上司から「いいけど…こんな忙しい時期に休むの? 俺だって休んでないのに?」(p.85)とネチネチ言われたとする。この場合のかわすスキルは、“丁寧な態度で挑む”ということだ。

◎「部長ともなるとなかなか休めないですよね。いつもありがとうございます。部長のおかげでチームは回っています」と言って去る。(p.85)

「え? それだけ?」と思った方も多いかもしれない。面倒くさい人たちをかわすには、“同じ土俵に立たない”ことが大切なのだ。

 面倒くさい相手に対処したいと思うとき、私たちはついスカッとするような撃退法を求めてしまいがちである。しかしそれでは相手を使って自分の感情やストレスを発散させようとする彼らと何ら変わりない。

 本書では、あえて面倒くさい相手を持ち上げるような対処法やフレーズも多い。それは決して彼らに屈したわけではなく、むしろ相手にしない、という割りきりなのである。

 そもそも「独身でうらやましい(結婚している私のほうが上)」という人がいる一方で、「夫が稼いでくれてうらやましい(専業主婦なんてまっぴら)」という人もいる。価値観というのは、人それぞれだ。

カースト上位を狙っていても、それはほとんどがハッタリの世界。メッキの世界です。すぐにはがれてしまいます。それに惑わされているだけなので、真に受けて傷つく必要はありません。(p.92)

 面倒くさい人たちの発言にモヤモヤするということは、自分が上か下かを決める彼らの勝手な基準に振り回されているだけなのである。

 縁を切れるなら、そっと離れてしまえばいい。しかしそれが難しいようであれば、自分の印象を損なわず、「やんわりかわす」ことが人間関係の武器になるのは間違いない。本書のマインドや実践的フレーズを日常に落とし込めば、不毛な会話に巻き込まれ、心乱される機会も減りそうだ。

文=ひがしあや