泉はどうして「主に泣いて」るのか?

公開日:2012/7/5

主に泣いてます (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:東村アキコ 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

日本の漫画の題材は、本当にバラエティに富んでいて、すごい。このタイトルだけでは「?」という疑問視しか湧いてきません。
興味津々で購入。電子書籍の気軽さ、すっかり慣れてしまいましたが、「お」と思って「さ」と買う。「パ」と降りてくるので、「さくっ」と読んでしまえる。場所も取らない。漫画など特にあっという間に読めてしまうので、このスピード感、いいのか悪いのか、作者にとっては有利なのか不利なのかということまで考えてしまうほど、気軽すぎます。

advertisement

海外在住者には本当に神々しいまでのテクノロジーの進化! そして今回の漫画は、「さくっ」のあとに、妙な味が残る、ふしぎな作品でした。なんとなく昭和チックな人物像と、ありえないような設定。本当に、日本人作家の想像力はすごいなぁ。

さて、主人公はあまりの美しさに、周りのオトコを不幸にしてしまうほどの人物。これが悪女系ならこれまでにいくらでもある設定ですが、彼女は超がつくほど気弱。不倫関係にあるのに超純情。絵画教室のモデルをしている主人公泉は、自分の美しさを自慢することすらせず、同じ教室の中学生女子に守られて生活している・・・。奇特です。奇特すぎる設定。にもかかわらず、読めてしまうのは、キャラクターがしっかりしているせいでしょうか。アンニュイな美人の泉のせいでしょうか。読者を「モテ側」にいる気分を味あわせてくれるからでしょうか。なにより彼女が優しいのがいい。純情で、不倫なのに心底相手に惚れてるのもいい。草食男子を前に、強いキャラの多かった女性像をここでまた、敢て、弱く美しく頼りなげで、儚げに描いたあたりがヒットの秘密かもしれません。

ドラマがフジテレビで7月の毎週土曜日夜23時10分より、とのこと。主演女優さんには相当ハードル高いキャラクター。どんな仕上がりになるのか楽しみです。


ブスに生まれてくればよかった、なんて思ってみたい

「主に泣いてます」はこのシーンから生まれます。作者のセンスがきらり

不倫相手がまたヒドイ人物なんですが

出てくる人たちがいちいちおもしろい (C)東村アキコ/講談社