あなたが「自分で決断できない」理由。決められる人になるために捨てたい思考とは

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更新日:2020/11/12

7日間で自分で決められる人になる
『7日間で自分で決められる人になる』(根本裕幸/サンマーク出版)

 現代は、選択肢がたくさんある時代だ。結婚してもいいし、しなくてもいい。ひとつの会社に長く勤めてもいいし、副業や独立をして個人の力で稼いでもいい。周りの人の考え方もバラバラで「30までに結婚しなくちゃ!」「年収○○万円以上はないと」と好き勝手に言うものだから、どうしても迷ってしまう。人生を左右する重要な決断から、日々のちょっとした行動にいたるまで、日々悩みは尽きない。

 悩むこと自体は悪いことではないが、「いつも考えすぎて決められない」「他人の意見に引きずられて後悔してしまう」とつらい思いをしている人には、『7日間で自分で決められる人になる』(根本裕幸/サンマーク出版)をすすめたい。本書は、心理カウンセラーの根本裕幸さんによる、悩みすぎてしまう人への処方箋だ。「他人に振り回されず、自分で決められる」ことを目標に、7つのステップで読者のこころを楽にしてくれる。

 著者によれば、その本質は“鎧を脱ぎ捨てる”こと。心の内にある「決められない」原因は、無意識のうちに自分を縛っている“鎧”だ。本書を通じて、その正体と向き合ってほしい。ここでは、いくつかの“鎧”の例を見てみよう。

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理想主義を捨てる

 誰かと相談しているとき、ついつい「○○すべき」と言っていないだろうか。本書によれば、決断できない原因のひとつに、「理想主義」があるようだ。

 理想主義とは、物事を「こうあるべき、べきでない」という「べき論」で語ること。「○○歳なんだからそろそろ結婚するべきだ」「上司に期待されているのだから人並み以上の成果を出すべきだ」…などなど。「○○すべき」という理想によって、自分自身を縛ってしまうことがある。

 社会や他人からインストールされた理想は、しばしばプレッシャーや自己否定の原因になってしまう(「普通なら○○すべきなのに、私はできていない。やっぱりダメなんだ…」)。そんな理想主義を捨てることが、ひとつの解決策になるかもしれない。

 本書では、具体的な“捨て方”も紹介している。たとえば、「私は」を主語にして生活すること。「私は今、ワインが飲みたい」「私は今、何がしたいの?」。無意識のうちに理想主義に引きずられないよう、常に「私」の気持ちを意識してみよう。

「恐れ」を捨てる

「恐れ」も決められない原因になる。何かを決めてしまうと、それが悪い結果につながらないか不安になってしまうのだ。筆者も、自分の企画で重要な決断をするとき、それが原因で失敗したらどうしようかと不安になる。そんな私たちに、著者はこう問いかける。

でも、どうして○○になってしまう可能性をあなたは知っているのでしょう?
前にそんな体験をしたから?
うまくいかなくてひどい目にあっている人を知っているから?
バッシングされている人の姿を見てきているから?

 もし、自身の体験やほかの人をみて「自分は失敗するだろう」と思っているのなら、それは「強烈な自己否定」の表れだという。かつて失敗したのなら、そんな自分を許してあげる。そして「失敗してもいい、笑われてもいい」と自分に許可を与えてあげよう。実体のないものに恐怖を覚えるのではなく、現実的にリスクを考えられるようになりたい。

 こうした“鎧”をひとつひとつ脱ぎ捨てていくことが、「決められる」人になるためのステップだ。本書では他にも「完璧主義」「正解主義」「考えすぎ」といった、決められない人が陥りがちな状況と対策を解説。“鎧”は無意識なものだから、自分だけでは気づけないかもしれない。けれど、本書を読めば、自分の苦しみの原因が言語化されている。かつて「決められない」ことに悩み続けた著者の助言は、あなたが自分と向き合う助けになるだろう。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7