なぜ欧米人は靴を脱がずに家に入るのか? 世界に存在する驚きの「価値観」とは

暮らし

公開日:2020/11/29

日本人が知らない驚き価値観
『日本人が知らない驚き価値観』(もぐら/竹書房)

 新型コロナウイルスの猛威は世界中で止まるところを知らず、日本とて例外ではない。しかしアメリカなどと比べ、日本は比較的感染者数が抑えられている傾向にある。ハッキリした理由は定かでないが、仮説として「マスクを着けることに抵抗がない」ことを挙げる識者も。逆にマスク着用をあまり好意的に捉えない国もあり、いわば我々とは「価値観」が違うのだ。そういった事例は数多く存在し、しばしば日本人を困惑させる。『日本人が知らない驚き価値観』(もぐら/竹書房)は、そのような価値観の違いを、著者独自の観点で解説している。

 価値観の違いで代表的なのは、例えば食事法。日本人がレストランで「手づかみで」食事をしていたら、周囲の人はびっくりするだろう。しかしそれがインドの人だったなら……? インドの風習などを知っている人なら納得だし、知らなくとも「何か理由があるのだろう」と考えるはず。イギリスの社会人類学・文化人類学者のメアリ・ダグラスによれば「人間はその文化による分類の秩序から外れたモノに対して、否定的反応をする」のだとか。つまり日本人の「価値観」に合わない行為に対して否定的反応を示すのは、やむを得ないのだろう。しかし知識として違う「価値観」を知っていれば、その拒否感は和らぐはず。だから他国の風習などを知っておくことには意味があるのであり、ここでは本書に取り上げられている驚きの「価値観」を紹介していこう。

酒は食べ物

 日本では、酒は20歳以上でなければ嗜むことができず、車の運転などに際しての飲用も禁止される。清涼飲料水と比べて非常に厳しい制限が課されるものだ。しかしエチオピアのデラジャ地域では、「パルショータ」という濁酒を「主食」としており、これ以外に固形の食べ物はほとんどないという。1日に平均5kgも飲むそうで、長い時間をかけてゆっくり飲むからアルコールも分解できるのだとか。だから、こういう酒を「酔うための嗜好品」ではなく食事や飲料として扱う国の人が、グダグダに酔って前後不覚な日本人の姿を見ると「自分をコントロールできないなら飲むべきではない」とか思うらしい。そもそも人種としてアルコールに強い、弱いもあるので、そのへんも酒の「価値観」に影響しているのかもしれない。

advertisement

靴を脱がない欧米人

 よく欧米と日本の文化の違いとして「欧米人は室内でも靴を脱がない」というものが挙げられる。これには気候風土も関わってくるが、重要なのは欧米の家が基本「土間」であるということだ。「土間」とは土足で歩ける場所であり、だからこそ欧米人は室内でも靴履きでいられるのである。日本では「土間」は玄関など限られた場所だけで、家の中は「床」になる。もちろん床や畳の部屋に、履物を脱いで入るのは当然。「価値観」というよりは、家の作りの違いというべきなのかもしれないが、室内をどう捉えているかという意味で考えれば「価値観」の違いといえなくもなさそうだ。

 日本の常識は世界の非常識──なんて言葉を聞いたことがある人もいるだろうが、世界にはさまざまな風習があり、日本人の価値観だけで推し量れるものではない。だから、きっと理由があるのだろう。なんか夜な夜な、どこかよく分からない言葉が斜め上の部屋から結構な大音量で響いてくるのは──。正直、なかなかキツいです……。

文=木谷誠