自分が本当に読むべき本を書店で見つけるには? 短時間で深く理解できる“東大理Ⅲ式スピード読書術”

ビジネス

公開日:2020/12/4

東大理Ⅲ スピード読書術超一級の思考力&情報処理力を身につける
『東大理Ⅲ スピード読書術 超一級の思考力&情報処理力を身につける』(佐々木京聖/学研プラス)

 あなたは月に何冊本を読むだろうか。

「月に1冊読めるか読めないか」「時間がなくてまったく読めない」「そもそも本を読むのが苦手で…」なんて人は要注意だ。読書は今も昔も、知識を得るのに欠かせない手段の1つ。知識を得る、つまりインプットをおろそかにすれば、より良いアウトプットは期待できない。

 そうはいっても時間は作れないし、読書が得意になるのは難しいもの。そんな人に試してほしいのが『東大理Ⅲ スピード読書術 超一級の思考力&情報処理力を身につける』(佐々木京聖/学研プラス)で紹介されている「東大理Ⅲ式スピード読書術」だ。

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 著者は現役の東京大学医学部生。彼が編み出した読書術を使えば、効率的かつムダがなく、本の内容を深く理解することができるという。こんな方法があるならば、習得しなければ損というもの。本稿ではこの読書術がどういったものであるのか、その一端を紹介したい。

「速読術」と「東大理Ⅲ式スピード読書術」の差は“理解の深さ”

「何だ、要するに速読と一緒でしょ?」と思ったら、それは大きな間違いだ。世に知られている速読術は、「眼筋を鍛えて、文字を追うスピードを上げる」「かな文字を飛ばして漢字だけを読む」といったものが多い。

 確かに、この方法であれば読むスピードはアップする。しかし、内容についての理解度は下がってしまうことも。これは、ニュージーランドのヴィクトリア大学ウェリントンの研究でも明らかになっているという。

 東大理Ⅲ式スピード読書術は、「本の要点を絞って読み、筆者の考えを適確に理解する」ことが最大の特徴。つまり、一番大事なところだけを読み、それ以外は思い切って飛ばしてしまう。そのため“理解の深さ”という点において、他の速読術とは一線を画す方法となるのだ。

文章の「型」を知り、結論を探し出せ!

 本書曰く、この読書術は4つの公式から成り立っているとのこと。その4つの公式がこちらだ。

公式Ⅰ:文章の構造を知れば、主題を簡単に見つけ出せる
公式Ⅱ:主題をつないでいけば、論の要点を効率よく読み取れる
公式Ⅲ:論点を要約すれば、情報を生きた知識としてストックできる
公式Ⅳ:帰納と演繹を用いれば、知識を柔軟に活用できる

 スピード読書術はインプットだけでなく、アウトプットの方法まで組み込んでいることもユニークな特徴の1つ。本稿ではアウトプット編は割愛させていただき、公式Ⅰのみ紹介したい。

 文章の核となる部分は結論(=著者の言いたいこと)。その結論だけを丹念に読み進めれば、全てを読まずとも、短時間で血肉となる知識が得られる。しかし、言うは易し。我々のような読書ビギナーが全てを読まずに簡単に結論を見つけ出すのは難しい。

 もちろん、本書は優しく手を差し伸べてくれる。本書によると、文章は「サンドイッチ型」「謎解き型」「誘惑型」の3パターンの型に分けられるそうだ。サンドイッチは結論→説明→結論、謎解きは問題提起→説明→結論、誘惑はエピソード→説明→結論。

 大まかに、結論は最初か最後に書かれていることがわかる。そこで、文章の型を探りつつ、最初と最後を先に読んでしまう。そうすることで、効率よく結論を掴んでしまおう、というわけだ。

 他にも、「文章中に何度も出てくるキーワードも、著者の主張とつながるためチェックすべし」というテクニックなども紹介されている。

自分が本当に読むべき本を書店で見つける方法とは?

 本書ではスピード読書術に加えて、本の見つけ方も教えてくれる。その方法は、簡単に以下の流れだ。

・自分の知りたいことを紙やノートに書き出す
・目次に注目(本の大まかな内容をつかむ)
・目次で気になった章をザッピング→自分の知りたい情報が書かれているかチェック

 こうすれば、「本を買ってみたけど、時間のムダだったかも…」という悲劇を防ぐことができそうだ。また、本を買う目安として「ゆっくり時間をかけて頭をフル回転させれば、なんとか理解できそう」くらいの難易度の本を選んだほうがいい、というアドバイスも。読書初心者だけでなく、上級者にも役立つ方法なのは間違いない。

 スピード読書術は時間が足りない現代人にとっては、かなり役立ちそうなテクニックだ。この読書術を身につければ、短時間で書籍の内容を深く理解でき、読書の幅がさらに広がりそうだ。

文=冴島友貴