ドラマとはちがう結末が!? 死んだはずのあの人も登場し、ますます混迷をきわめる『私たちはどうかしている』最新巻

マンガ

更新日:2020/12/11

私たちはどうかしている
『私たちはどうかしている』(安藤なつみ/講談社)

 老舗和菓子屋・光月庵を舞台に、過去に起きた殺人事件の真相と愛憎いりまじるお家騒動を描いたラブ・サスペンス『私たちはどうかしている』(安藤なつみ/講談社)。観月ありさの美しさゆえに鬼気迫る演技も話題となったドラマは最終回を迎えたが、連載中の原作マンガは、ますます混迷をきたしている。というわけで、どうやらドラマとは異なる結末が用意されているらしい本作のあらすじをふりかえっていきたい。

 発端となる事件で殺されたのは、光月庵の当主。犯人として逮捕されたのは、当時住み込みで働いていた和菓子職人の女性で、本作の主人公・七桜はその娘である。告発したのは、七桜と親しくしていた当主の一人息子・椿。やがて勾留中に和菓子職人の母が死に、悔しさを抱きながら自身も和菓子職人となってつつましく生計を立てていた七桜だが、あるとき偶然、椿と再会してしまう。椿のほうは、かつてともに暮らしていた少女と気づかないまま、七桜の職人としての腕と度胸をみこんでプロポーズ。それは政略結婚を避けるための偽装結婚の申し出だったが、光月庵に潜入できるのは母の濡れ衣を晴らしたい七桜にとってはまたとない機会。そうして2人は、それぞれの目的のため結婚することになるのだが……。

※以下ネタバレを含むので、原作未読・ドラマ未視聴の方はご注意ください

advertisement

 やがて判明したのは、椿は母・今日子(観月ありさ演じた女将である)が夫以外の男ともうけた子供であり、七桜こそが当主の娘だったという事実。結果、大旦那の采配のもと光月庵を継ぐ勝負に勝ったのは七桜となり、2人の結婚は終わりを迎えるが、男女として、よりも先に、職人同士の矜持で惹かれあった2人には、いつしか通じあうものが芽生えていた。一度は出ていった椿が戻ってきたのは、どんな過去があろうと光月庵を守り続けることが己の望みだと悟ったから、だけではなく、亡き母の想いを受け継いで和菓子づくりにすべてを懸ける七桜をいまだ愛しているから。そして七桜もまた、かたくなに“終わったこと”にはしているけれど、それはこれ以上椿を傷つけたくないからに他ならない。そんな2人のすれ違いが、とにかく切なくて胸がぎゅうっとなってしまうのである。

私たちはどうかしている P.24

私たちはどうかしている P.25

 さらに七桜は、事件をさぐる協力者だった多喜川にプロポーズされて揺れている。14巻では、多喜川の隠されていた想いを知って気持ちは傾くのだが、彼に押し倒されたとき脳裏をよぎったのは……!? なんともやるせなくなる展開だ。多喜川もふくめて、全員に幸せになってほしいと願わずにはいられない。

 さていよいよ、事件の真相究明である。18年前の当主を殺したのは誰なのか? 椿と七桜がタッグを組んで動き出すのだ。最有力容疑者とおぼしき今日子には、アリバイがある。多喜川もまだまだ何かを企んでいるようだし、死んだと思われていた“あの人”も登場するし……。最新14巻も、「ちょっともうどうなってんの!」と叫ばずにはいられない怒涛の展開であった。

私たちはどうかしている P.31

 

 巻末の次巻予告にうたわれる「正真正銘のクライマックス」という言葉には「ほんとだな!?!?」と前のめりでツッコミを入れてしまったが、今度こそ明かされるらしいあの日の真実を楽しみに、発売予定の2021年5月を待ちたい。

文=立花もも