今年度は作品ガイドが大幅リニューアル! ライトノベルの“目利き”が選ぶ今年の注目作はコレだ!

文芸・カルチャー

公開日:2020/12/12

このライトノベルがすごい!2021
『このライトノベルがすごい! 2021』(『このライトノベルがすごい!』編集部/宝島社)

 いまが旬のライトノベルを紹介するライトノベル総合情報誌『このライトノベルがすごい! 2021』(『このライトノベルがすごい!』編集部/宝島社)が11月24日に発売された。

 本誌は、毎年恒例の読者アンケートによる人気ランキングに加え、今年躍進した作家やイラストレーターへのスペシャルインタビュー、ジャンル別作品ガイドなどを掲載し、1年間のライトノベルの流行を読み解くガイドブックとなっている。

 特に今回は作品ガイドが大幅リニューアルされ、本誌に協力者として参加した“目利き”がそれぞれ注目する作品を選ぶ特別企画「協力者が選ぶライトノベルBEST5」が大きな目玉となっている。

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 今年も注目が集まる人気ランキング「文庫部門」では、『千歳くんはラムネ瓶のなか(ガガガ文庫)』(裕夢/小学館)が第1位に輝いた。

『千歳くんはラムネ瓶のなか』は、高校のトップカーストに君臨するリア充男子・千歳朔が、思春期の少年少女の悩みと向き合う学園青春ストーリー。昨今のライトノベルの主人公としては珍しい超絶リア充主人公で、普段から美少女や陽キャな友人に囲まれて青春を満喫する千歳くんだが、リア充であるために努力して、周囲に妬まれても己の信念を貫き、進路や部活などの問題にも真正面からぶつかる姿が、正統派ヒーローとして読者の心に刺さったようだ。

 ランキングトップテンでは、アニメ化もされた『ようこそ実力至上主義の教室へ(MF文庫J)』(衣笠彰梧/KADOKAWA)や、いまや常連となった『弱キャラ友崎くん(ガガガ文庫)』(屋久ユウキ/小学館)など、学園・ラブコメ作品が大半を占めるなか、変わり種の新作が上位に躍り出た。

『スパイ教室(ファンタジア文庫)』(竹町/KADOKAWA)は、スパイによる諜報活動が盛んな世界で、世界最強のスパイ・クラウスのもとに集められたスパイ見習いの少女たちが、困難な任務に挑むスパイアクション。一癖も二癖もあるヒロインたちの騙し騙されの駆け引きが見所で、シリアスなスパイの概念を覆すような可憐なヒロインたちに魅了されたという声も多い。

 もう一作、『探偵はもう、死んでいる。(MF文庫J)』(二語十/KADOKAWA)は、名探偵と死に別れた助手の少年・君塚君彦が、探偵の遺志を継いで怪事件を解決に導き、秘密結社の怪人と戦いを繰り広げるミステリー。名探偵だったヒロインがすでに死んでいる衝撃的なスタートから、事件を通じて亡き面影を描く斬新な展開が話題になった。

 今回も文庫部門、単行本部門共に新人作家の台頭が著しく、流行の最先端を駆けるライトノベル業界を象徴するような結果となった。世代別ランキングからも読者の世代ごとに、どんな作品が支持されているのかが読み取れる内容となっている。

 最後に『このライトノベルがすごい!』編集部からダ・ヴィンチニュース読者へのメッセージをご紹介する。

今年の『このラノ』は約10,000人の方々からのアンケート回答をいただきました。ライトノベルも大きな変革の時代になっています。昨年では殿堂入り作品が4作認定され、ランキング上位は様変わり。文庫作品ではラブコメの強さを感じます。その最中でも単行本・ノベルズ部門では、ファンタジー作品もしっかりと評価されています。様々なジャンルを内包し、常に新奇で面白い作品を繰りだしてくるのがライトノベルの面白いところ。本誌が新たな作品との出会いにつながれば幸いです。

『このライトノベルがすごい!』編集部・岡田

文=愛咲優詩