「世界中の人に受け入れられる人は実在しない」批判や中傷にもいいねを押すYouTuberからのメッセージ

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公開日:2020/12/24

生まれたことすら、自分のきまぐれ
『生まれたことすら、自分のきまぐれ』(佐藤そると/KADOKAWA)

「自分らしさ」や「個性」といった言葉であふれる時代を生きている。

 無個性であることはよくないとされる風潮があり、「個性がないことがコンプレックス」といった声も聞こえてくる。その一方で、「個性的だね」という言葉には、未だに悪いイメージがしみついて抜けない。あれほど個性を求める人々も、“強すぎる“個性にはうんざりした目を向ける。SNSの発展も相まって、人からの評価に敏感にならざるを得ない世の中だ。

 そんな悩める現代人に、「生きてる以上嫌われるのが当たり前」と活を入れてくれるのは、『生まれたことすら、自分のきまぐれ』(KADOKAWA)の著者、佐藤そるとさんだ。YouTuberとして活動している彼女は、著書の中で評価の目に晒されながらも幸せに生きる方法を語っている。今回は、その中から2つのエピソードを紹介する。

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好きなことをあきらめないで

 自分が好きなことを見つけ、その道に進みたいと思ったとき、周りの人の視線が気になったり、自分の力に自信を持てなくなることがある。「まだ仕事をしているわけじゃないけど、ファッションは自分の天職」と語る佐藤さんも同じ経験をしてきた。

 周囲から「この程度のレベルならざらにいるよ?」という視線を向けられたり、通っている映像系の大学で自分が書きたい脚本を書くと、先生に「つまんないから書き直して」と言われたり……。

 しかし彼女は、悩む時間がもったいないと前進しつづける。「私には才能がないから」「あの人はセンスがあっていいな」なんてことは考えないし、書きたいものを全否定されてもめげない。悩んで立ち止まる時間がもったいないと、あきらめない姿勢を貫く彼女が夢である自身のブランドを立ち上げる日は、そう遠くないだろう。

批判の声にも「ありがとう」

 YouTuberとして活動する以上、佐藤さんの元にも批判や中傷の声が届くという。そんな意見にも、彼女は「見たよ!」の気持ちを込めていいねを押す。YouTubeを通して自身の意見を発信しているのだから、批判はあって当たり前だとどんと構えているのだ。日々生活しているだけでも周りの視線が気になる時代に、世界の人に受け入れられる人が実在するわけないんだからと現実を正しく捉え、自分を守る強さを持つ佐藤さん。多くの人が憧れるのも納得がいく。

 本書には、人間関係に生きづらさを感じる人たちを救う言葉がたくさん載っている。友人からの相談への答え方から、恋愛で行き詰まった時のリアルな体験まで。佐藤さんが対人関係における強さを身につけてきた過程がよくわかる。今年は学校も仕事も帰省も、なにもかもがオンライン化した1年だった。いつにもまして相手の気持ちや考えが読み取りづらく、画面越しの誰かを通じてコミュニケーションの持つ力を実感した。そんな1年の締めくくりに、改めて自身の人との関わり方を見つめ直す読書をしてみてはいかがだろうか。