大好きな人と結婚したのに“セックスゼロ”!? 『ホタルノヒカリ』著者の新作は王子様との“ハッピーエンドの先”の物語！

　幼いころ読んだ童話は──いや、その延長で少女マンガも、たいていはこんな結末を期待して読んできた。恋に落ちた王子様と少女は、結婚して幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。ところが、悲しいかな、アラサー＆アラフォーになったわたしたちは、「彼が好き」という気持ちだけでは結婚生活がうまくいかないことを知っている。貞淑な村娘からいきなり王太子妃になったヒロイン、身分の差は気にならない？ お姑さんとはうまくいってる？ そして、なにより……王子様とのカラダの相性、大丈夫だった？？？

　そんな“ハッピーエンドのつづき”を経験することになるのが、『聖ラブサバイバーズ』（ひうらさとる/講談社）の主人公、相澤ハルだ。

　雑誌の記事を読んだことがきっかけで、人気バンドのメンバー・王子和弘に恋をしたハル。彼女は「王子に会いたい」という想いだけを胸に、安定企業での仕事を捨てて、ライターに転身した。

　生身の王子に触れたハルは、一瞬にして気持ちを決めた。脇役でもいい、彼の人生に潜り込めるなら、何だってやる。どんな地獄が待っていても、この出会いを後悔することは絶対にない──。

　それから6年。立派な35歳極貧独身ライターに仕上がったハルは、スランプを迎えていた。そもそも、王子に会いたいという気持ちだけでライターになった自分に、「育児ほっこりあるあるネタ」なんて書けるわけがない。王子とは執念でお近づきになれたものの、虚弱体質の彼の世話を焼くハルの立ち位置は、まさにオカン。家の鍵まで渡してもらっているけれど、フィジカルな接触はもちろんなしだ。

　そんなある日、ひさしぶりに「熱を出した」と王子に呼び出されたハルは、彼が自宅で倒れているのを発見する。病院に担ぎ込まれた王子に対し、ハルは彼の健康管理のための同居を提案。それに対する王子の答えは……。

　かくして、憧れの王子と結婚することになったハルだが、結婚式当日に、彼が思ってもみないことを言い出した。

　本当の意味での“バージンロード”を歩いたハルの新婚生活は、3カ月経ってもセックスどころかキスもなし。“セックスレス”どころか、“セックスゼロ”夫婦である。精神的に満たされてはいるけれど、夫とできないということは、もう一生、誰かとフィジカルな触れ合いはできないの？ 困惑するハルだが、ふたりの友人──フリーのヘアメイクで既婚者、子持ちの冬実（36歳）と、外資系企業に勤める独身で、性的探究心旺盛な秋菜（26歳）も、愛についての悩みを抱えているようで……。

　草食系、絶食系という言葉が耳に慣れてきた一方で、セックスレスに悩むカップルや夫婦も多いと聞く。わたしたちはそろそろ、幼いころ読んだ「ふたりは結婚して幸せに暮らしました」という結末を、検討し直したほうがいいのだろう。自分にとって、恋とは何か？ 愛とは何か？ 結婚に何を求めるのか？ 本作は、恋愛や結婚も多様化しつつある現代の女性たちに贈る、愛の世界の攻略本となるのかもしれない。

文＝三田ゆき