巨人はどうして壁を破壊した? いよいよ明かされるライナーの過去――アニメ「進撃の巨人」第3話

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公開日:2020/12/27

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

 12月21日深夜に放送されたアニメ「進撃の巨人」第3話。メインキャラクターは第2話と同様にライナーだ。「進撃の巨人」と言えば、エレンの住む街を囲う壁から超大型巨人が顔をのぞかせ破壊するシーンがいちばん有名だろう。

 超大型巨人はなぜ壁を壊したのか。

 それは謎のまま残っていたが、いよいよその謎が、超大型巨人たちの側の視点で明かされた。

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 時はライナーの子ども時代に遡る。

 たくましく大柄なライナーだが、子どもの頃は気弱で劣等生のように扱われていた。ライナーの祖国「マーレ」で被差別民であるエルディア人として育ったライナーは、「名誉マーレ人」となり、母、そして会ったことのない父と幸せに暮らすことを望んでいる。ただ名誉マーレ人になる条件は、知性を持つ巨人になり、戦士として戦うことだ。知性を持つ巨人になった後は13年しか生きられない。

 第3話は原作でのエピソードが大幅にカットされた。ライナーや、彼と共に主人公エレンたちの住むパラディ島を襲撃したベルトルト、アニのシーンも少なくなり、インターネットやSNSを見るとこれに不満を持った原作ファンもいたようだ。ベルトルトがアニに恋心を抱いていることを示した場面もなくなっている。

 しかしそのぶん、非常にテンポよく物語は進んだ。1話でライナー、ベルトルト、アニの戦士候補生としての日々、ライナーが鎧の巨人を受け継いだ経緯、ライナーと父親の再会、リーダー格だったマルセルの死、そして壁の破壊。ライナー、ベルトルト、アニが訓練兵団としてエレンたちの同期となるくだりまでが息をつく間もなく描かれ、一瞬も目を離せない。

 アニメのこのくだりをもっと深く知りたいと思った人は、原作を読むとより理解が深まるのでぜひ読んでほしい。もしくは今後アニメのどこかで描かれる可能性もある。

 ライナー、ベルトルト、アニの三人だけがパラディ島の中で抱えていた苦しみは想像を絶するものだ。三人は幼少期からマーレで思想教育を受けていて、パラディ島の人々を悪魔だと信じ込んでいた。ところが実際に島を襲い潜入してみると、パラディ島に住んでいたのは自分たちと同じように感情を持っている人間だった。彼らを裏切り、いつかは殺さなければならないという宿命から、三人は逃れることができないまま長い月日をパラディ島で過ごしていたのだ。

 超大型巨人であるベルトルトは戦いに敗れて、エレンの親友であるアルミンに食べられ死んだ。女型巨人であるアニは巨人化したエレンと戦ったあげく、長い眠りにつき四年経った今もパラディ島の中で目覚めていない。

 時代は現在に戻る。残されたライナーは、口の中に銃を突っ込む。ひとり残され、生きて帰ってきてしまったライナーは、死ぬ以上の苦しみを今も味わっていた。

 物語の終盤、現在の戦士候補生の少年ファルコがけがをした長髪の男と会う。戦争で傷ついて帰還したエルディア人だ。ただ、この男は視聴者に違和感を抱かせる存在でもある。いったい何者なのか。

 余韻を残したまま第3話は幕を閉じる。

 第1話から漂い続ける不穏な雰囲気。どこから来たものなのか、まもなく明かされそうだ。

文=若林理央