「先日助けて頂いたつるです!」現代で繰り広げられる異色の押しかけラブコメ

マンガ

公開日:2021/1/6

先日助けて頂いた〇〇です! 1
『先日助けて頂いた〇〇です! 1』(稲葉そーへー/白泉社)

 誰もが知る昔話『鶴の恩返し』は、しばしばマンガでパロディ化される。自らが鶴であることを隠す「正体バレ」のドキドキや、身を削って恩を返そうとする健気さが笑いの種になるからだ。ここでご紹介する『先日助けて頂いた〇〇です! 1』(稲葉そーへー/白泉社)も、『鶴の恩返し』を題材にしたラブコメディ。しかし、どうも冒頭から様子がおかしい。

 物語は、ある日主人公・祐(たすく)のもとに、つるが訪ねてくるところから始まる。髪も服も白黒で奇抜だが、見た目はかわいらしい女の子。そんな彼女は、開口一番こう言い放つ。

「あのっ…私 先日助けて頂いたつるです!」
「御恩返しに来ました!」

 なんと、いきなり「自分が鶴である」と明かしてしまうのだ。これでは、お決まりの「絶対に中をのぞかないでくださいね」のくだりができない。しかも、彼女の目的は、恩返しをして主人公と結婚すること。人間として近づけばよかったのに、すでにつるだとバレているのが痛すぎる…(笑)。祐は彼女を動物だと認識しているから、結婚相手として見てもらいにくい(当たり前である)。つるは、「私のことをつるとしてしか見てくれない」と健気に悩み、なんとか祐の気を引こうとする。

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「つるでも結婚したいって思ってくれるまで ひたすら恩返しするんだ!」

 しかし、恩返し生活も簡単には進まない。彼女は住み込みで家事手伝いをすることになったが、彼のもとに新たな美少女(動物)が現れる。そう、このマンガのタイトルは『先日助けて頂いた〇〇です!』だ。「○○」に当てはまるのは、鶴だけとは限らない。ラッコ、クアッカワラビー、オポッサムなど、思わず「なんでそのチョイス?」とツッコミたくなるマイナーな動物たちが登場する。変わり種の動物たちが次々に恩返しを仕掛ける中、つるは祐と結ばれることができるのか…?

 つるにはかわいい特徴がある。頭にある「肉瘤(にくりゅう)」だ。白い髪をかき分けると、おでこに真っ赤な丸いものがある(よく見ると表紙のつるにもうっすら…)。肉瘤は、血流が良くなるとプクっと膨れる。つまり、つるが怒ったり、恥ずかしくなったりすると、大きくなってしまうのだ。祐との何気ない日常の中で、つるの感情はときおり大暴走する。わかりやすく赤くなり、肉瘤を膨らます彼女はかわいくてしかたない。

 ドタバタを繰り返しながら、ふたりの距離は徐々に近づいていく。まさかの「正体バレ」から始まった恋は、どんな結末を迎えるのだろうか。一歩一歩踏み込んでいくふたりの関係を、あたたかく見守っていきたい。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7

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この記事で紹介した書籍ほか

先日助けて頂いた〇〇です! 1 (ヤングアニマルコミックス)

著:
出版社:
白泉社
発売日:
ISBN:
9784592163169