自分へのご褒美はムダ!?――お金のプロが解説する『お金で絶対に苦労しない方法を教えてください!』

暮らし

公開日:2021/1/26

お金で絶対に苦労しない方法を教えてください!
『お金で絶対に苦労しない方法を教えてください!』(加谷珪一/プレジデント社)

 老後の資金、突然の病、コロナショックによる失業。私たちは、さまざまな不安とともに生活しています。備えあれば憂いなしなんていいますが、何をどのように備えればいいのかわからない……。とくに、時代や景気に左右されるお金の不安は歳を取るごとに募るばかりです。

『お金で絶対に苦労しない方法を教えてください!』(加谷珪一/プレジデント社)は、タイトル通り“お金で苦労しない方法”を提案してくれる、いわばお金の教科書。経済評論家で著者の加谷珪一さんが、将来に不安を抱える女性・西園寺花子さんに講義するストーリー形式で進んでいきます。

 お金の使い方や家族のお金、稼ぐ方法……などなど、お金との正しい付き合い方をあらゆる観点でひもとく一冊。ストレートなタイトルですが、私も一言一句違わず同じ気持ちです。お金で絶対に苦労したくない! ここで同書の中からNGなお金の使い方をご紹介します。

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自分にご褒美は、百害あって一利なし

 大きな仕事が一段落したときや自分の頑張りをねぎらうときは、自分にご褒美をあげたくなりますよね。作中に登場する西園寺さんは、ご褒美として「ちょっとだけゴージャスなアクセサリーを新調」「高級スパで極上のリラクゼーション」など、いろいろと自分にプレゼントしているそうです。

 それを聞いた加谷さんは「『自分へのご褒美』はムダ。百害あって一利なし、です」と一刀両断。

「どうして『ご褒美』がダメなのかというと、この言葉の裏にはムダな支出というニュアンスがあるからなんですよね。『必要じゃないのは頭ではわかってるけど、でも欲しいもの』を正当化するのが『ご褒美』というマジックワードなんです。お金の心配をしないで済むライフスタイルにしたいなら、買ってもいいのは『必要なもの』であって、『欲しいもの』ではない」

 かなり辛らつ……! ただ、ムダ遣いとわかっていて買うくらいなら、言い訳せずに“本当に必要だから高いアクセサリーを買った”と考えを切り替えられればOK。重要なのは品物の内容ではなく、自分にとって必要かどうか。お金を使う前に自問することがムダ遣いを減らすヒントなのかもしれません。

 ただ、自分にご褒美をあげてモチベーションを上げたい、という人もたくさんいますよね。わかります。そこで加谷さんがおすすめしているのが、ご褒美でありながら自己投資につながる“本”を買うこと。

「何か新しい分野に興味をもったり調べる必要が出てきたりしたら、ケチケチしないで、本屋さんの棚から少しでも関連しそうな本をまとめて買ってきて全部読む。そうすると、相当たしかな知識が一気に身につくんです。やっぱりどの本にも共通して書かれていることがあって、それがその分野で押さえるべきエッセンスなんだとわかる。

 これは2~3冊ぐらい読んでもダメで、10冊、20冊とまとめて一気に目を通すほうが断然効率がいい。(中略)私が今、幸いにお金に苦労しない人生を歩めるようになったのも、もとはといえば、実に多くのことを本から学べたからです」

 本の場合は20冊買っても3万~4万円ほど。値段を見ると、これまで使ってきた自分へのご褒美の値段とそう変わらないどころか、本のほうが安い、というケースもあるかもしれません。自分が興味のある分野なら、楽しく読み進められる“ご褒美”になるのではないでしょうか。

 ムダ遣いを減らす方法だけでなく、おすすめのキャッシュレス決済や投資に関する疑問点をわかりやすく解説してくれる同書。将来に漠然とした不安を抱えているなら、手にとって損はないはず!

文=とみたまゆり