調査兵団は悪魔なのか いよいよ「進撃の巨人」エレンが敵国マーレを襲撃/アニメ「『進撃の巨人』The Final Season」第6話

アニメ

公開日:2021/1/25

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

 オープニングは原作漫画にはない場面である。式典の日、タイバー家当主が家を出る直前に時が遡っている。

 タイバー家はエルディア人の地位向上に務め、いつ巨人が襲ってくるかわからないパラディ島勢力に目を光らせていた。敵をあぶり出すために当主は式典で演説をする。何も知らない子どもたちは出かける父親を囲み当主の妻は涙を流す。エレンたちにとっては敵だが、彼らも家族愛にあふれた人間なのだ。

「このままではあなたは死にます」
 馬車で当主に付き添う隊長マガトの言葉はその後現実になる。

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 式典には人が集まっており、エレンは地下で巨人化し舞台を突き破った。壇上で話していた当主を吹き飛ばして一瞬で食らう。

 落ちてきた瓦礫によってたくさんの人が死んだ。中にはゾフィアと、ゾフィアを助けようとしたために、逃げる民衆に踏みつけられたウドもいた。二人とも戦士候補生の子どもたちだ。彼らと共に訓練し友情を育んできた少女ガビは愕然とする。

 一方、ダイバー家が代々受け継いでいた「戦槌の巨人」に変身したのは当主の妹だった。彼女は「進撃の巨人」エレンを追いつめるが、すんでのところでエレンは静かに言葉を放つ。

「今だ、ミカサ」
 ヒロイン・ミカサは「『進撃の巨人』The Final Season」で初の登場となる。彼女は戦闘力に長けたアッカーマンという一族の血を継いでいて、すばやく動き戦槌の巨人を攻撃する。やがてジャンたち調査兵団メンバーも続々と現われる。

 特筆したいのはこのエピソードがマーレ側の視点で描かれており、黒い戦闘服に身を包んだ調査兵団の面々が正義の味方ではなく悪魔のように見えることだ。仲間として戦っている兵士たちに亀裂が入っていることにも注目してほしい。街中で無差別に攻撃を仕掛ける仲間に、「民間人への被害は最小限におさえろ」と、止めるのはジャンだ。だが彼自身、今回、エレンが戦槌の巨人を手に入れるために罪のない民間人たちを殺し、自分もそれに加担したことを自覚している。

 ミカサもそうだ。

 子どもを含めた多くの民間人がこの争いに巻き込まれて亡くなった。結局は昔、自分たちの住むパラディ島が襲われたときの敵と同じ行動をしてしまったのだ。ミカサは「もう取り返しがつかない」と涙を浮かべてエレンに帰ろうと訴えるが、エレンは戦槌の巨人の本体を見つけるまで帰れないと言う。

 場所は変わり、ガビの視点になる。彼女はウドとゾフィアの死に納得できず戦いに加わりたいと激戦地まで行くが、見慣れた仲間が撃たれるのを目の当たりにする。ガビがその先に見たのは、ミカサやジャンと同じ悪魔のようないでたちで銃を持つサシャの姿だった。

 これは後々伏線となるので覚えておきたい。直後にサシャはコニー、ジャンと合流しその場を去る。

 その頃、エレンは戦槌の巨人の本体を見つけていた。食らおうとした瞬間、マーレ側の巨人である「顎の巨人」ポルコが進撃の巨人の首にかみつく。ところがその首はあまりにも硬い。ポルコは、驚くのとほぼ同時に、斬りかかってきた一人の人間を認識する…「人類最強の兵士」と言われている調査兵団隊長リヴァイだ。

 ひとつのスペクタル映画を見ているようだった。激しい戦闘シーンの中で、正義とは何なのかという問題提起もされているように思える。

 まだ姿を見せないアルミンは、四年前に戦士ベルトルトを食べ「超大型巨人」を継承している。アルミンが何をしているのかについては来週以降に描かれるだろう。

文=若林理央