3年間のブランクを経て蘇るのは、ホントに神業

2012/7/22

かんなぎ (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 一迅社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:武梨えり 価格:400円

※最新の価格はストアでご確認ください。

ついに再始動し、無事7巻も発売された『かんなぎ』です。
知っている人は、巡礼に出てしまうほど知っている。知らない人は、たぶん「なぜ、みたことないマンガが平積み?? しかも7巻!?」と思ったでしょう。

ま、長期休載については置いておいて。
一見したところ、かわいい女の子“たち”に好かれている鈍い主人公の生活を描いた漫画です。女の子も、「幼なじみ」「押しかけ同居人(厳密には違うけど)」「実は昔から好きでした」と定番です。

でも、それだけだったらこんなに話題にはならないだろうし、何しろ類似品がたくさんありますから。あっという間に消えていたでしょう。
なにが違うか? 工業製品ではないものに、こういう言い方は失礼かもしれませんが。一言で表すなら「付加価値が高かった」ということでしょう。プラスアルファ、ってやつですな。レビューでは再三書いておりますが、王道からのスライドのさせ方がうまい。

まずはヒロインのナギ様です。分類ではたぶん「押しかけ同居人」になるのでしょうが、神様です。しかも、主人公の御厨くんが部活(美術部)の一環で彫った彫刻で顕現した神様です。幼なじみのつぐみちゃんは、恋愛感情よりも母性本能の方が上回っている感じですし。さらに、「いつも影からみています」な白亜ちゃんは、神様に憑依されることで「懺悔ちゃん」として御厨の前に現れます。

設定も、「ナギ様の正体がなんなのか?」「神様ってなんだ?」ということに冒頭から突っ込むような野暮なことはせず、かといってご都合主義でスルーもせず。気づけば、ひとつの物語を支える大きな柱になっていたりするんですよ。

それと、もうひとつ注目してほしいのがセリフです。なんでもないような、言葉の積み重ねがキャラクターにどれだけの厚みを持たせているか。それは幼なじみのつぐみが、春休み中に太ってしまったがために制服を買い直した件での独白などでも際立っています。


ナギ様による、神様講座です

幼なじみのつぐみ。意識はしているようだが、感情がかたちを持たない状態

ナギと仁のやりとり。コミカルなだけでなく、ふたりの距離感が伝わる場面

つぐみの独白が白眉。視点を自由にいじれるコミックならではの演出

キャラクターそれぞれにちゃんと思惑があって、それに従って反応していますね

白亜に憑依している懺悔ちゃん。それはもうひとりの産土神 (C)武梨えり/一迅社