「テーマ性」と「ギャグ・笑い」の織り交ぜは絶妙! 『銀の匙』荒川弘の傑作

更新日:2012/7/24

鋼の錬金術師1巻

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : スクウェア・エニックス
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:荒川弘 価格:432円

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2011年マンガ大賞で大賞を受賞した『銀の匙』の著者、荒川弘のいわずとしれた代表作『ハガレン』。
とりあえず、「錬金術」はもちろん、「兄弟」「禁忌」「機械」「バトル」「強い女」「絆」「軍隊」「家族」「革命」「陰謀」「成長」「幼なじみ」「歴史」「人造人間」「賢者の石」……このあたりのどれかひとつにでも萌える方はぜひ1度、読んでみていただきたい。

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もー、とにかくですね、おもしろいのです。国家錬金術師の資格を持つエドワードと弟のアルフォンス。エルリック兄弟として知られる彼らの秘密は、幼いころに人体練成の禁忌を破り、死んだ母親を甦らせようとしたこと。母親は取り戻せなかったどころか、禁忌破りの代償として、エドは右手左足を、アルは体を“もっていかれて”しまったのです。機械鎧(オートメイル)で体を補うエドと、鎧に魂だけを定着させた状態のアルの2人は、体をとりもどすために全能とされる“賢者の石”を探し求めて旅をする……。
とまあ、最初の設定だけでこれだけの長さになってしまうわけなのですが、この作品の奥深さは、“母親をとりもどしたい”という幼い子供の願いを入口に、少年たちが国の暗部、歴史の闇、そして世界が抱える“真理”にまで及んで物語を展開させていくところ。

テーマは重たい、悲劇の割合もけっこう高め、なのにギャグ満載で笑えるし、出てくるキャラクターはみな人間くさくて魅力的。
物語には常に光が差し込んでいて、前に進んでいく強い力に満ちています。その光はたぶん、他者からの光というよりもエドたちが自ら放つ、希望と生命の光。そんな彼らに引き寄せられるように、同じ光をもつ人たちが集うので、たとえエドたちがへこたれて歩みを止めそうになってしまっても、周囲が2人を照らし、彼らの光をより強く輝かせてくれるのです。

なーんて、ちょっと抽象的ですね。ちょっとでも気になったらぜひ読んでみてください。一口であらすじなんて語れないくらい重厚なストーリーと人間模様が展開しています。
『銀の匙』は読んだ、好き! という方なら、「テーマの重さ」と「ギャグと笑い」の織り交ぜ具合が絶妙なのも、おわかりになるはず。せっかく電子で登場したのですから、読まないなんて、損ですよ!


物語の始まりは、禁断の人体錬成

“小さい”は禁句! 鋼の錬金術師・エドワードと、甲冑姿の弟・アルフォンス

エドたちが遭遇する、最初の哀しき事件。のちのちまでも、後悔は残るのです

錬金術師の命を狙う、謎の男・スカー。エドとの因縁も続きます

エドたちが頑張れるのはこの笑顔があってこそ! 最強のヒロインです

裏でうごめくホムンクルスたち、その目的とは?

大人気! 炎の錬金術師・マスタング大佐。彼の部下たちもいいキャラぞろい!