馬鹿ブス貧乏な私たちはコロナ禍の中どう生きていけばいいのか?

文芸・カルチャー

公開日:2021/2/7

馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。
『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』(藤森かよこ/ベストセラーズ)

 ベストセラー『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』の続編、『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』(藤森かよこ/ベストセラーズ)が発売された。コロナ禍によって日々刻々と変わりゆく世界のありように、前著が通用しなくなってしまったということで書かれた続きの著作だ。

 タイトルにある「馬鹿ブス貧乏」とは、著者いわく、
・「全人口の上位3%の知力の持ち主でなければ馬鹿」
・「美貌やプロポーションの良さだけで高収入を得ることができないならブス」
・「どんな政治的社会的変動があっても、生活が安泰な超富裕層以外は貧乏」
であり、「全人口の97%くらいの人間」はみな「馬鹿ブス貧乏」と定義する。これを受け入れられない人や不愉快に感じる人もいるかもしれないが、つまりは「普通のそのへんの人間」に向けて書かれた本だということだ。

 前回同様、なかなかに手厳しい言葉が並ぶ。最初の章では新型コロナウイルス危機対策として昨年2020年の3月に行われた一斉休校やそれに伴う世の中の多くの非難を例に挙げ、「日本の親は、ほんとうは『子ども嫌い』であるということも、あらわにされたのではないか」「もう正直に認めましょう。母親も父親も、子どもと離れていることができる自由な時間が欲しいのだと」と主張する。身もふたもない言葉に、それこそ非難が殺到しそうだが、決して著者はそれを批判しているわけではない。この著書では一貫して、批判をするというよりも事実をまず認めてから備えましょう、という姿勢が見て取れる。それは前著に通じるものでもあるだろう。

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 書籍の中では、コロナによってあぶり出された教育や政治、国家のあり方の問題などを、さまざまな著作の引用をしながらひもといていく。タイトルの「近未来を迎え撃つ」という言葉に惹かれて読んだ人は、そこに明確な解決方法や迎え撃つための手段が書かれていないので肩透かしにあったような気分になるかもしれない。しかし1冊を通して読んでみると、著者のスタンスというのが一貫しているようにも感じる。

 つまり馬鹿ブス貧乏な私たちは、知らないことを知る努力をしないと生き残っていくことができないので、いまこの時代に何が起きているのか学び続けないといけない。そのあり方を著者がまず体現してくれているのがこの書籍だと感じたのだ。

 馬鹿ブス貧乏であることや、自分が生産性のない余りの人間だ、と認めることは難しい。しかし、一度はその現実を受け入れ、いま何が起きているのかを知ろうとし、使えるサービスは使っていく気概がなければ、普通の人間が生きていくにはこれから難しい時代になっていくだろう。読むと元気が出たり、たった1冊で人生が180度変わるようなロマンチックな内容ではないが、とても現実的で地に足のついた指南書である。

文=園田もなか

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