読めば、妄想と知的好奇心の扉が開く、胸きゅんアートミステリー

小説・エッセイ

2012/7/28

楽園のカンヴァス

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 新潮社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:原田マハ 価格:1,382円

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中野京子さんの『怖い絵』など、美術絵画の読み解きは“物語”好きにはたまらないもの。山本周五郎賞を受賞し、直木賞候補作ともなった本作は、アンリ・ルソーという1人の画家の人生と絵画に焦点をあてたアートミステリー。ラブストーリーの名手として知られる原田さんだからこそ描ける胸きゅんとの融合がまた、たまりません!

アンリ・ルソーもゴッホと同じように、生前は評価されなかった画家。賞賛の言葉をほとんど聞かず、どれだけ笑われても苦境にあっても自分の才能を信じ続けて亡くなった……というところだけでも私はいつも、その狂気に似た熱情にドキドキします。

本書ではルソーの人生を語る手記と、真作とも贋作ともつかないルソーの絵画をめぐって2人の専門家が知識バトルを繰り広げるお話。かつてそのバトルに参加した織江は、美術の一線を退いていまは岡山・大原美術館で働く一介の監視員。かたや好敵手だった男は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のチーフ・キュレーター。その男、ティムとの再会のオファーが、織江の記憶を呼び戻し、美術へのルソーへのたぎる想いをよみがえらせます。

空想と史実の狭間で語られる、アンリ・ルソーという画家の人生と恋。彼の描いたかもしれない1枚の絵をめぐって魂をぶつけあう男女の、美術への想いと野心、そしてひそやかな恋情。

大好物すぎて、はっきり言って鼻血が出そうでした。じつはあまりルソーの絵に触れたことはなかったのですが(なんとなく怖かった。なんでだろう、いまもすこし怖いです)、がぜん興味がわきました。
美術に気後れしている人にほど読んでほしい1作です。


今の織江は、西洋の血の入った娘を育てるシングルマザー

作品のそこかしこに書かれている美術への愛はおそらく、キュレーター経験のある著者の渾身の言葉

経歴を隠していた織江のところへ来たオファー

そして過去にさかのぼり、非公式の美術鑑定バトルが幕を開けます