人を嫌うなら一人で嫌いになれ。リズミカルな展開がたまらない、文学界の新星にゃんたこの 人生をラクに生きる考え方

文芸・カルチャー

公開日:2021/2/17

世界は救えないけど豚の角煮は作れる
『世界は救えないけど豚の角煮は作れる』(にゃんたこ/KADOKAWA)

 この世には、容姿の整った人間が星の数ほどいる。インスタグラムの中、テレビや雑誌の中、タピオカ屋の店員、行きつけの美容院のチーフ、電車で向かいに座った女子高生、それはもう、驚くほどそこらじゅうにいる。そんな人たちを見るたびに、自分の容姿に勝手に落胆し、「人間の真価は見た目ではない」ことを心では理解しつつ、拭えないコンプレックスにつきまとわれたりしたことはないだろうか?

 そんな、自身のコンプレックスや価値観を見つめ直すためにおすすめのエッセイ本『世界は救えないけど豚の角煮は作れる』(にゃんたこ/KADOKAWA)が2021年1月20日(水)に発売された。発売後、即重版が決まり、2万部を突破した。読者からは「心が軽くなった」「生きづらさが消えた」などと大反響だ。

 著者のにゃんたこは、日常風景に自身のエピソードや考えなどのテロップをつけた、文学的世界観全開の動画やゲーム実況動画などを投稿している。文学的センスに長けた文章や飾り気のない日常の様子が魅力となり、現在のチャンネル登録者数は30万以上である(2021年2月現在)。

advertisement

人を嫌うなら一人で嫌いになれ。

 みんなが嫌うから嫌う、みんなが叩くから叩く、みんながやるからやる、みんなが好きだから好きになる。知らないうちに自分以外の誰かに心の舵を取られて、自分のやりたいことが一体何なのかわからないまま、やみくもに流されて流され続けていく。こんな経験をしたことはないだろうか? そんな状況に本エッセイは活を入れてくれる。

人を嫌うなら一人で嫌いになれ。
人を愛したら雑音を消して一人で愛し続けろ。
好きなら好きと言えばいい、嫌なら嫌と言えばいい。

可愛いの所在について

 可愛いと、周りがこぞってブランドを身に着けるから可愛いと思う。それって本当に自分自身の感情なのだろうか。大衆迎合によってすっかり洗脳されてしまった偽物の「可愛い」ではないのだろうか。

 大衆が可愛いと思うから、自分も 可愛いと思う。じゃあそれって一体、誰の思う可愛いなんだろう。可愛いの所在がわからなくなっていくのが怖いのだ。自分を疑って疑って、そして最後にはこう思う。

「可愛いって一体何だっけ…」

 本書『世界は救えないけど豚の角煮は作れる』は自分の感情にしっかり向き合う機会を作ってくれる。きっとあなたも妬みや悩みといった気持ちが消えるはずだ。