『Think clearly』の著者が警鐘を鳴らす。ニュースはアルコールと同じくらい危険?

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公開日:2021/3/1

News Diet
『News Diet』(ロルフ・ドベリ:著、安原実津:訳/サンマーク出版)

『News Diet』(ロルフ・ドベリ:著、安原実津:訳/サンマーク出版)で「ニュースフリー生活」を提案するドベリ氏は、『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』(サンマーク出版)などのベストセラーで知られる作家・実業家だ。

 子どもの頃は、休日に図書館にこもって新聞を隅から隅まで読む生活をするほど、ニュースが好きだった。社会人になってからは、海外の新聞や雑誌にも目を通していたという。インターネットの発達に伴い、ニュースが目に入る機会は爆発的に増えた。ドベリ氏は、ふと自分に問うた。

“ニュースのおかげで、私は世界をもっとよく理解できるようになっただろうか? 良い決断ができるようになっただろうか?”

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 ドベリ氏は、ニュースから距離を置きはじめ、2010年からはニュースなしの生活になった。そして自信を持って「ニュースダイエット」を勧めるのが本書だ。読めば読むほど、これまでの生活がいかにニュースで溢れていたかを、読者は知ることになる。

ニュースはアルコールと同じくらい危険?

 ニュースは、アルコールと同じくらい危険だという。ニュースは至るところにあり、その大半は無料で、考えずとも意識のなかにするっと入り込む。アルコールよりも中毒になりやすいのかもしれないとドベリ氏は警鐘を鳴らす。

“デジタル化により、いまやニュースは無害な娯楽媒体から人間の健全な理解力を損なう大量破壊兵器に変化している”

 では、私たちは「大量破壊兵器」から自らの身をどう守ればいいのだろうか。

ニュースを断って、本を読もう

 ドベリ氏が勧めるのは、ニュースサイトのブックマークやアプリを削除することだ。どうしてもニュースを読みたいのならば、紙の新聞が望ましい。なぜなら、紙にはハイパーリンクがないからだ。気づかぬうちにハイパーリンクを踏み続け、ニュース中毒になる心配はない。

 読書は大切だ。良質なオンラインスクールを受講するのもよい。ニュースを断って空いた時間を使い、“広く学ぶのではなく、深く学ぼう”とドベリ氏は呼びかける。

自分で決める力を取り戻す

 私たちはニュースが好きだと認めよう。ドベリ氏ほどの「断捨離」ができる人は少ないのかもしれないが、本書は間違いなく、ニュースとの付き合い方を見直すきっかけを与えてくれるはずだ。

“何を探すか決めるのは、あなたでなくてはならない。進む道を定めるのは、あなたでなくてはならない”

 現代は、私たちがニュースを知っているのではなく、AIによってニュースが私たちを知っている。「ニュースダイエット」をして、自分自身が決める力を取り戻そう。

文=遠藤光太

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