子どもに「SDGs(エスディージーズ)って何」と聞かれたら答えられる? 17項目を人気作家の漫画で分かりやすく解説!

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更新日:2021/2/28

マンガで世界を救うぞ! SDGsマンガ化計画
『マンガで世界を救うぞ! SDGsマンガ化計画』(SDGs×マンガのチカラ:編集/講談社エディトリアル)

 最近、テレビなどを観ていてちょくちょく耳にする言葉がある。それが「SDGs(エスディージーズ)」だ。初めて聞いた人は「なんのこっちゃ?」と思うだろう。そりゃあそうだ、私もそうだった。これは「Sustainable Development Goals」の略称であり、「持続可能な開発目標」という意味である。「なんのこっちゃ?」と思う向きもあるだろう。そりゃあそうだ(以下略)。字面だけ眺めてもサッパリ分からないので端的に述べれば、これは「世界中の人がさまざまな問題に対して、2030年までに達成を目指す目標」のことだ。2015年9月25日の国連サミットで採択され、国連加盟国すべての共通目標となっている。とはいえ概要は分かっても、その内容まで理解するのは難しいかもしれない。だが、日本には世界に誇る「漫画」がある。『マンガで世界を救うぞ! SDGsマンガ化計画』(SDGs×マンガのチカラ:編集/講談社エディトリアル)ならば、漫画で「SDGs」について分かりやすく学ぶことができそうだ。

 SDGsでいう「持続可能」とは、将来にわたって地球環境や社会を維持でき、さらには発展していくという意味。そのため17項目の「大きな目標」を掲げて、それを2030年までに達成しようというのである。その「17の目標」は、以下の通り。

「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「6.安全な水とトイレを世界中に」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「10.人や国の不平等をなくそう」「11.住み続けられるまちづくりを」「12.つくる責任 つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」「16.平和と公正をすべての人に」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」

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 これら17の目標をテーマに、17人の漫画家たちが描きおろした漫画を収録したのが本書だ。作家陣は実に豪華で、例えば「島耕作」シリーズで知られる弘兼憲史氏や『ブラック・エンジェルズ』などのヒット作を描いた平松伸二氏など、錚々たる顔ぶれ。各テーマにつき8ページと少ないページ数ながら、それぞれが自身の持ち味を活かして担当のテーマを分かりやすく漫画にしている。では、どのような取り上げかたがされているのか紹介してみよう。

●「Dr.コトー診療所 今日もシゲさんは、、」(山田貴敏)

 山田貴敏氏といえば『Dr.コトー診療所』で知られる漫画家。ドラマにもなったのでご存じの向きも多いだろう。そんな氏が描くのは3番目の目標「すべての人に健康と福祉を」だ。「コトー先生」と呼ばれる医師・五島健助の診察を受ける、口の悪い患者・シゲさん。コトーをヤブ医者呼ばわりするシゲさんに対し、診療所の看護師・星野彩佳は怒り交じりに、診察を受けられるシゲさんは幸せであると喝破する。世界には治療も受けられず、5歳にならないうちに死亡する子供たちがたくさんいるからだ。ワクチンを打てば助かる病気も、注射が打てないために防げないケースも。現在、新型コロナウイルスのワクチンが話題となることが多いが、貧困国の人々に行き渡るか疑問の声も上がっているようだ。「すべての人に健康と福祉を」──この我々に突きつけられた喫緊の課題が、お馴染み『Dr.コトー診療所』のキャラクターたちによって分かりやすく描かれている。

 このように多くの場合で、自身のヒット作のキャラクターたちを使ってSDGsの目標を読者に理解しやすいように描いているのが本書の特徴。文字だけだと堅苦しさもありそうな内容も、漫画にすると非常にとっつきやすくなるのだから、漫画の持つ力は偉大だ。本書の序文に「今後二冊、三冊とこのシリーズは続くでしょう」と書いてあるので、どんな作家がSDGsについてどのように描いてくれるのか、今から楽しみなのである。

文=木谷誠