時間に間に合わない、忘れっぽい、、片づけができない…もしかしてADHD? と思う大人の女性が共感必至のノウハウ集

暮らし

公開日:2021/3/3

ADHD脳で困ってる私がしあわせになる方法
『ADHD脳で困ってる私がしあわせになる方法』(中島美鈴/主婦の友社)

「せっかく早起きしたのにまたギリギリ…」「あー机の上に出しておいたのに書類忘れた!」「家の中がぐちゃぐちゃでもうイヤ…」…あなたは毎日、後悔ばかりでため息をついたりしていないだろうか。

『ADHD脳で困ってる私がしあわせになる方法』(中島美鈴/主婦の友社)によれば、そんな失敗や失言に悩まされて非常につらいと思っている人たちの中に、ADHDという「注意欠如・多動症」と呼ばれる発達障害の特性があるかもしれない。ADHDとは、簡単に説明すると、不注意、多動性、衝動性の3つの特徴があり、ADHDであるかどうかは、専門の医療機関で詳細な検査を受けなければ診断はできないというが、女性の場合、大人になるにつれて「うまくいかないこと」が増えてきて症状を自覚する人が多いといわれている。ただし、もし自分に上記のような悩みがあっても徒らに焦るのは禁物。まずは本書でADHDの脳にあう具体的な作戦を知って心を落ち着けて実践してみよう。

 著者は大人のADHDのための集団認知行動療法プログラムを研究している臨床心理士の中島美鈴先生。実は先生自身もADHD的な特性を自覚しているといい、本書はそんな経験を踏まえながら「生きにくさ」を抱えている大人女子(本書では「ADHDタイプさん」と呼ぶ)にやさしく寄り添い、「ツライ」を「ラク」にするための秘訣を教えてくれるのだ。

 というわけで「もしかして…?」という方は、まずはSTEP1で紹介されているADHDにありがちなトラブルの数々を読んでみよう。もし「あてはまる」「私のことだ」と思ったら、この本が頼もしい味方になってくれるので安心だ。

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ADHDタイプさんの脳にはちょっと変わったクセがある

ADHD脳で困ってる私がしあわせになる方法 p.52~53

 ところで一般に大人のADHDタイプさんはトラブルの原因は自分の落ち度にあると考え、「自分がいけないんだ」と自分を責めてしまう人が多い。だがADHDタイプの人は通常とは少し形や働きが違う「クセのある脳」を持っていることがわかっており、トラブルはその脳の働きによって起きてしまうのだという。

 本書はそうした脳のメカニズムも解説してくれるので、自分の失敗の理由が少しずつ理解できるようになる。それを知るだけで少しモヤモヤが晴れそうだし、むしろ「脳のクセだから仕方ない」と開き直ってしまえればさらに精神的にもラクになれるかもしれない。なお現時点ではADHDは「変えられる」ものではないといわれているが、環境を変えたり行動を変えたりすることでラクに生きる方法はたくさんあるとのこと。本書もそれを伝えるために書かれた1冊であることをお忘れなく!

時間管理、片づけ、感情のコントロール方法まで、ADHDタイプさんを応援

ADHD脳で困ってる私がしあわせになる方法 p.68~69

 たとえば「時間管理術」。時間に余裕ができれば気持ちに余裕が生まれ、抱えている困難だって少しずつ軽くなっていくだろう。「いろんな部分がごちゃごちゃになっている人ほど、時間管理の方法からスタートするのがいい」(美鈴先生)とのことで、まずは本書が紹介してくれる時間管理テクニック(タイムログの取り方、スケジュール帳の使い方、To-Doリストの作り方など)の実践からはじめてみるといいのかも。さらには「片づけ」や「感情コントロール法」など、本書はADHDタイプさんの「なんとかしたい!」をやさしく応援してくれるのでぜひとも頼りにしてほしい。

 ちなみにコラムになっている著者の美鈴先生と編集M氏(どちらもADHD傾向あり)の対談もヒント&本音が満載なのでお見逃しなく。時に繰り出される美鈴先生の大胆すぎるアイディア(たとえば帰宅したら早めにお風呂に入りたいけどすぐダラダラしてしまってできないと嘆くM氏に、「玄関で靴と一緒に服も脱いじゃおう!」と指導する)に「『できない』を『できる』にするってそういうこと!?」と思わず笑ってしまうほどだ。

 とにかく「普通」を目指さなくても幸せになる方法はきっとある――そんな勇気をくれる1冊だ。

文=荒井理恵

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