読むだけで腹ペコに…! 心にスーっと響く小説『うしろむき夕食店』

小説・エッセイ

公開日:2021/3/13

『うしろむき夕食店』(冬森灯/ポプラ社)

 おいしいお酒と料理をテーマとした小説『うしろむき夕食店』が、2021年2月17日(水)に発売された。ハートウォーミングな物語の数々に、ネット上では「おいしい食べ物が出てくるお話が好きな人にはおすすめの一冊。癒されました」「心が温かくなる、そしておいしいものが食べたくなる素敵な作品でした」と絶賛の声が相次いでいる。

 作品の舞台となるのは、おいしそうな香りが漂ってくる「うしろむき夕食店」。“うしろむき”という名前ではあるが、出てくる料理とお酒はどれも絶品揃い。きりっと白髪をまとめた女将・志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。お店の名物は「料理おみくじ」。食事から人生まで、迷いを抱えながら生きるお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判を呼んでいるらしい――。

 同作は、メディアプラットフォーム「note」上で連載されていた物語をまとめた連作短編集だ。昨年7月、キリンビール公式noteとポプラ社一般書通信、そして作家の冬森灯が異色のチームを結成。「乾杯の時間」と「つながる温かな想い」というテーマのもと、物語が紡ぎ出されていった。

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 冬森は執筆にあたり、お酒や食べ物について入念な取材を行ったそう。「食」という切り口から人間の生き方に迫った物語に、SNS上では「ひと手間加えた美味しそうな料理の描写だけでなく、女将の佇まいや言葉が印象深く、心にスーッと響きました。この店ぜひ行ってみたいです」「書き留めておきたい優しい言葉がたくさんで、お客さんたち同様私も励まされました。どのお話にも出てくる『乾杯』の言葉がとても明るく響き、幸せな気持ちで読了」「自分の中には、まだ試していない可能性が残っている…それを気付かせてくれるのが、うしろむき夕食店。もし近くにあったら、毎日通いたいです」と多くの読者が胸を打たれているようだ。

 著者の冬森は、「第1回おいしい文学賞」の最終候補に残った後、応募作を元にした『縁結びカツサンド』によってデビューを遂げた作家。デビュー作もおいしい料理がたっぷり登場する作品で、人と人との“縁”をめぐる物語が描かれていた。

 温かくておいしい料理には、冷たい人の心を溶かしてくれる効果があるもの。誰もが共感できるグルメ小説の世界に、あなたも飛び込んでみてはいかがだろう?

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