今年はおうちで花より団子! かわいい「もちばけ」たちに癒されながら和菓子について楽しく学べる新感覚の絵本『もちばけ』

文芸・カルチャー

公開日:2021/3/12

もちばけ おもちだけど、おばけです。
『もちばけ おもちだけど、おばけです。』(せきちさと:作、石原絵梨:原案・絵/岩崎書店)

 杵と臼につくも神がとりツき、ツかれた「もち」は、なんとおばけになってしまう。ちいさな和菓子屋さん「熊猫堂」で今日もお客さんを待つ、かわいい「もちばけ」たちの物語——。

 大人でもハマる人が続出というパンダの穴のガチャシリーズが絵本になった! 『もちばけ おもちだけど、おばけです。』(せきちさと:作、石原絵梨:原案・絵/岩崎書店)は、人気キャラクターたちが勢揃いしたロングストーリーや4コマ漫画、おもちにまつわるクイズなどをたっぷり掲載。キャラクターたちに癒され、時には「ツくはツくでも『おもち』かい!」などとツッコミながら楽しめる、ほんわか絵本です。

お気に入りのもちばけを見つけて楽しもう

もちばけ おもちだけど、おばけです。p.6-7
(C) Panda’s ana & Chisato Seki

 ちょっとわがままなリーダー「いちご」や、眠いときに不機嫌になる「おまめ」など19種類のもちばけを紹介したページでは、和菓子ってたくさんの種類があるんだなとあらためて実感。それぞれのキャラクターには、「よもぎ:いつも体のぐあいがわるく、中のあんこがこぼれがち」など、その風貌を表しつつ、ひとひねり加えた個性的な設定も。「ないしょだけど、さくらが好き」などのラブ要素にも楽しみが広がります!

 とにかく絵がかわいらしく、子どもも大喜び。4歳のわが息子は、白いもちに黒いまめがついた「おまめ」が気になったようで、他のキャラクターを読んでいるときも「このブツブツなのは誰?」「黒いの何?」と質問攻めしてくるほど夢中に(そのあと粘土であそぶときも「おまめ」を作っていました)。バリエーション豊かなもちばけの中から、お気に入りを見つけられそうです。

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四季の行事をテーマにしたロングストーリー

もちばけ おもちだけど、おばけです。p.10-11
(C) Panda’s ana & Chisato Seki

 和菓子といえば、行事に合わせて食べられるのも楽しいところ。この本では、そんな行事の楽しみを取り入れた2つのロングストーリーが紹介されています。

 今の季節でいえば、やっぱりお花見。2つのお話の中の1つ「おまつりさわぎ」は、お花見シーズンのもちばけたちを描いた物語です。

 最近「おだんご」ばかり売れていることに気づいたもちばけたち。どうやら「まつり」らしいのだけど、何の行事なのかと探ります。ここでは、もちばけたちが歌う、おまつり気分のオリジナルソングも登場。親子でお囃子風に歌うのがおすすめです!

 そして、いよいよおまつりの日。夜暗くなってから、おまつりをしている場所を探しますが見つかりません。そこで川沿いに行ってみると…夜桜を発見! その美しさに目を潤ませるもちばけたち。この日のおまつりとは、お花見を楽しむ「桜まつり」のこと。このお話から、三色団子の「おだんご」は「はなみ」と呼ばれるようになったのでした。キャラクターの感情を丁寧に描いた物語に注目です。

 ちなみに、2本目のロングストーリーでは、和菓子屋さん「熊猫堂」の店主を巻き込んだもちばけたちの大挑戦が描かれているので、こちらも本書で楽しんでくださいね。

4コマで、もちばけたちの日常を楽しめる!

もちばけ おもちだけど、おばけです。p.27
(C) Panda’s ana & Chisato Seki

 4コマ漫画ではクスッと笑える楽しいお話がたくさん。キャラクター同士のさまざまな関係性が描かれることで、それぞれの個性がより際立ちます。読めば読むほどおもしろい!

 こちらにも「せいくらべ」や「たなばた」といった季節ネタが盛り込まれているので、どんな行事で何の和菓子を食べたらいいのか、子どもとの会話が盛り上がりますよ。

 ロングストーリーがもちばけたちが力を合わせて1つのことをやり遂げる感動物語だとしたら、4コマ漫画で描かれるのは気軽に読めるもちばけの日常。この2つを同時に楽しむことで、もちばけたちの存在がどんどん身近に感じられます。

意外とむずかしい! 楽しく学べるおもちのクイズ

もちばけ おもちだけど、おばけです。p.22-23
(C) Panda’s ana & Chisato Seki

 間に挟まれる「おまめの豆ちしきクイズ」も超必見です! おもちにまつわるクイズなのですが、これがなかなかむずかしい。はずかしながら大人にも答えられず、子どもと一緒に「う〜ん」と考えることになりました。息子からは「まあ、そんなアイデアもあるね」と思える突拍子もない答えが出てきて、それもそれで楽しかったのですが。結局答えがわからず、答えのページを見ながら親子で「へえ〜」と楽しく学ぶことができました。

親しみやすいキャラクターで和菓子にハマりそう

 昔からあって、四季折々で訪れるさまざまな行事。そこにはかならずというほど和菓子が登場して、「あのとき花見団子食べたよね」などと思い出がどんどん増えていきます。そう考えると、和菓子ってなんだか存在自体が楽しいものですね。

 もちばけのおかげで和菓子の知識が増えて、以前よりも和菓子への親しみが増したように思います。お店で和菓子を見かけたら、もちばけたちの顔が浮かんできそう!

 魅力的なキャラクターとストーリーにほっこりする、和菓子の絵本。かわいい絵から伝わるもちもち感と平和な日常が、何かとストレスの多い今だから身に染みて、親子共々ほっとひと息つけますよ。

文=麻布たぬ

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