地球の中心へ、それがこの地底旅行の目的

小説・エッセイ

公開日:2012/8/2

【割引版】地底旅行

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 東京創元社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:窪田般彌 価格:259円

※最新の価格はストアでご確認ください。

さて皆さんはジュール・ヴェルヌという作家に聞き覚えはあるでしょうか?
僕も最初は聞き慣れない人物だなあと思ったのですが、実はSFの開祖などと呼ばれた彼は、昨今の様々なSF作品の起源にあたる人物とされています。

advertisement

そんな彼を僕がどうして知っているかと言えば、アメリカの映画で『バックトゥザフューチャー3』という有名なタイムリープを題材にした映画がありまして、そこで見聞きしたことで印象に残っていたんですね。この映画に登場するドクという博士が敬愛するSF作家こそがジュール・ヴェルヌでした。彼はジュール・ヴェルヌをきっかけに西部時代の女性と結ばれるのですが、やはりジュール・ヴェルヌという作家は一映画で取り上げられるほどにリスペクトされた人物だということが伺えます。僕もSF作品のファンなので、その開祖が手がけた著書に触れられるとはなかなかに感慨深い話じゃありませんか。

そして本著「地底旅行」に至るわけですが、冒頭からおもしろいですね。
SF作品というのは物語のおもしろさにエンジンがかかるまでに結構時間がかかるものなんですけど、主人公のアクセルとその叔父であり学者のリデンブロックの掛け合いで話にぐいぐいと引きつけていきます。話は偶然2人が16世紀の錬金術師が書き残した古文書に挟まれた暗号を見つけてしまうところから始まるのですが、もちろんそこには2人を地底へと誘う魅力的な一節が書かれているわけです。猪突猛進のリデンブロックに巻き込まれるように同行してしまうアクセル。この辺りの1人称による嘆きが「やれやれ」といったような雰囲気を醸し出していますね。

地球の中心へと至る火山口、荒れ狂う風波、どれもこれもが童心をくすぐる展開ばかりで、幼少期に出会っていればと、今は心の底から後悔しています。書かれたのが19世紀にして、この想像力見事です。


そっと添えられたあらすじで想像力にかき立てられます

当時どこにでもあるようなごく普通の家庭的な風景から冒険は始まります

冒頭からいきなりリンデブロック教授の愚痴から始まるあたり茶目っ気たっぷりです
(C)窪田般彌/東京創元社