シンプルに、前向きに、自立した「ひっそり暮らし」を実現しよう

暮らし

公開日:2021/3/14

ひっそり暮らし
『ひっそり暮らし』(なち/大和書房)

“こんなにもたくさんの物が手に入ったのに、私の暮らしは何故これほどまでに停滞し、どうして毎日不安に押しつぶされそうなのか”

『ひっそり暮らし』(なち/大和書房)を著したなちさんは、18歳で社会人になり、ひとり暮らしを始めてから、欲しい物を買い集めた。なかには、料理の経験が全くないにもかかわらず、フードプロセッサー、ハンドミキサー、サラダスピナーなども……。

 しかし、東日本大震災をきっかけに「自分にとって大切なものを見極めておかなければ」と感じ、シンプルで前向きで自立した「ひっそり暮らし」をし始めた。その模様を綴ったブログは、コロナ禍で「おうち時間」が増えた今、住まいを見つめ直す人々の間で話題を呼んでおり、書籍化された。

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物選びのルール

“この欠点さえなければ完璧なのに――そう思う品は、絶対に選びません”

 なちさんは、品定めを徹底している。なぜなら、妥協して買ってしまった品は、使っているうちに不満が募り、また買い換える羽目になってしまうからだ。“日々の手入れは簡単? 収納場所はある? 何年使える? 捨て方は? 100%使いこなせる?”などと事前に考えることで物を増やすことを防げ、買った後に後悔することが大きく減ったそうだ。

誰でもできる極上の収納方法

“工夫を尽くした収納上手ではなく、工夫をやめた暮らし上手を目指しています”

 そう語るなちさんの収納方法は、「ただ置くだけ」。徹底的に見定めた良い物を大事に使っていれば、買い足しや買い換えの頻度が下がる。なちさんは物を厳選しているからこそ、収納ケースに無理やり詰め込む必要はなくなり、あらかじめ決まった物の「住所」に「ただ置くだけ」の収納ができるようになる。

“物は収納されるためではなく使われるためにある”は至言だ。

小さなワードローブ

“靴も家電も家具も、お気に入りを手入れして長く使う”

 なちさんの私服は、冬9着、夏6着で計15着だ。服もやはり「手入れが行き届くこと」を重視しているという。靴は、パンプス、スニーカー、レインブーツの3足。

 もしかすると、毎年一度も着なかった服を何年もクローゼットに眠らせている人も多いかもしれない。しかし、着ないのに持っていても家のスペースを無駄遣いするだけだ。

 カメラ・写真を趣味にしているなちさん。本書を彩る写真の数々を目にするだけでも、「暮らしを見つめ直してみよう」と思えるかもしれない。「おうち時間」が増えた今こそ、おすすめしたい1冊だ。

文=遠藤光太

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