言い方ひとつで人生が好転する! クレーム対応のプロが教える「得する言い方」

人間関係

公開日:2021/3/16

損する言い方 得する言い方
『損する言い方 得する言い方』(谷厚志/日本実業出版社)

 炎上、という言葉が浸透して随分時間が経った。政治家の失言や企業広報アカウントのツイート、今日も「言い方」でトラブルが絶えない。『損する言い方 得する言い方』(谷厚志/日本実業出版社)は2000件以上のクレームに対応し、今はクレーム・コンサルタントとして活躍する著者が、コミュニケーションを円滑にするための秘訣を、「損する言い方」と「得する言い方」とに比較して教えてくれる。

否定の言葉はコスパが悪い?

 著者は、以前出した本について「全く役に立たない!」「共感できない」などとネットに書き込まれていたそうだ。こうした意見はどこにでも溢れているが、否定や批判をしたところで、自分の人生は良くならないのである。

 著者はとあるお笑いタレントに、ネットに書かれている悪口などを見るかと聞いたことがあるそうだ。匿名で書かれていることは気にしないだと笑いながら言われたという。

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私の心に一番残ったのは、「落ち込んでいる時間がもったいない」という言葉でした。時間をコストとして意識されていることでした。

 他人を否定したり批判したりすることは、コストパフォーマンス(コスパ)が悪い、と考える。その上で自分も「否定の言葉」を使うのではなく、良い言葉を使う。「反転」させることが重要なのだ。

損する言い方「お待ちいただかないと、対応できません」

得する言い方「お待ちいただくと、対応できます」

 どちらも「今は対応できない」と言っているのだが言葉の受け手の感覚はまるで違う。大事なのは相手の気持ちを軸にして考えること。現実は同じでも、結果が変わってくる。

謝り方には「人間性」が出る!

 仕事をしていれば、どうしても謝罪しなければならない場面は訪れる。それは自分が失敗した時もあれば、部下や同僚の代わりに謝る、クレームや苦情を受けるなど、さまざまなパターンがある。著者は、

仕事ができる人の大きな共通点として、“謝罪上手”があると考えています。

 と言う。中には、偉くなったら謝らなくてもいいと思う管理職もいるというが、所詮こうした人は評価されない。できる人ほど、腰が低く、謝れるものだ。

 謝るのが苦手な人は「自分は悪くない」「私のせいではない」と考えてしまう。特に、クレームを受ける場合、なんと、60%以上が自分の責任ではないのに担当しなくてはならないと考えているのだそうだ。つい自分のせいじゃない……と思うのも無理はないが、ここでも相手の気持ちを軸にして考えることがポイントとなる。

損する言い方「その認識はなかったんですけど……」

「私に言われましても、ちょっとわからないですね」

得する言い方「私の確認ミスかもしれません。誠に申し訳ありません」

「私どもに至らない点があり、申し訳ございませんでした」

 非を認められる人は、信頼される。逃げ出したいのをグッとこらえ、きちんと謝ることで、クレーム相手の感情にも応えられるし、きっとそんなあなたを、周りが評価してくれるはずだ。

 その時はしんどいかもしれないが、「謝罪上手」の人生は確実に好転していく。

出来事は変えられないが、言い方は変えられる

 仕事の失敗、顧客からのクレーム、プライベートでも、家族間で約束を守れなかった、友達を怒らせてしまった。起こったことは変えようがないが、自分が発する言葉ならば変えられる。どうせなら、「得する言い方」を言える人になりたいものだ。

 「クラブハウス」が流行り、人と話す機会はまた増え始めた。より良い言い方を学びたいなら、この本はきっと役立ってくれる。

文=宇野なおみ

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