仕事後に集まるアラサー女子たち。恋愛、結婚、セックスについて赤裸々に語り合う、報告会が開幕

マンガ

公開日:2021/3/21

20時過ぎの報告会
『20時過ぎの報告会』(ヤチナツ/KADOKAWA)

『20時過ぎの報告会』(ヤチナツ/KADOKAWA)のメインキャラクターは三人のアラサー女性である。落ち着いて見えて友だち思いのこはる、穏やかなりさこ、人付き合いの天才と呼ばれるきみだ。

 彼女たちの性格はばらばらだが、会話をするとき、絶対に相手を否定しない。肩に力が入らない気楽さで友だちの話を聞く。友だちの中に自分の考え方と異なる部分を見つけても、無理に自分の中に取り入れることはない。もちろん相手にもそれを強制しない。

 彼女たちが仕事終わりに集まる報告会。会話の内容はリアルで赤裸々、そして何より楽しい。話題は恋愛、結婚、セックスと多岐に亘る。

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 会話の内容以外でも、「あるある」と思わずうなずきたくなる場面がたくさんあるのも、本作の魅力だ。

 例えばこはるとりさこが食事に行き、デザートを食べる場面。こはるはティラミスを口にして「あんまりおいしくないなコレ…失敗した」と心の中で思う。それを一口もらったりさこは、「んん!コレおいしいね!」と言う。それならと、こはるは「もっと食べていーよ」と勧めるが、断られる。

 こはるは考える。

“いらないからってあげるのは失礼よね…”

 だがりさこが断った理由は、おいしくなかったからではなかった。

“こんなにおいしいティラミス こはるさん全部食べたいに決まってる!”

 同じティラミスを食べて、こはるは「おいしくない」、りさこは「すごくおいしい」と感じていた。それなのにお互いに気を遣い合っていたのだ。

 またマッチングアプリで恋愛相手を見つけたり、時には報告会をオンラインでしたりと、令和を生きるアラサー独身女性らしい要素も詰まっている。

 軽快に報告会を楽しんでいた三人だが、後半になるとシリアスな展開もある。りさこがつき合っている彼氏に対する不安をふたりに打ち明けたとき、こはるときみは彼女にアドバイスする。

 報告会を終えてりさこと別れた後、こはるは「めちゃくちゃ余計なこと言った!」と後悔する。一方、きみは冷静だ。

“私は今日言ってよかったと思うよ
別に言う通りにしろとは言ってないし
実際どうするかはりさこちゃんが決めるから”

 友だち同士のつきあいは、ほどよい距離が必要だ。アドバイスするにしてもしないにしても、最終的に自分の道を選べるのは自分しかいない。だけど苦しくなったり悩んだりしたとき、話を聞いてくれる友だちがいたら、どんなに心強いだろう。

 彼女たちと同じアラサーの独身女性はもちろん、結婚していても異なる世代でも、彼女たちの姿にパワーをもらえるのではないだろうか。コロナ禍でなかなか友人に会えない今だからこそ、おすすめしたい本だ。

文=若林理央

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