仕事は“信頼”と“自信”を得れば上手く行く! タピオカブームの仕掛け人が明かすビジネスマインド

ビジネス

公開日:2021/3/16

なぜ、倒産寸前の水道屋がタピオカブームを仕掛け、アパレルでも売れたのか?
『なぜ、倒産寸前の水道屋がタピオカブームを仕掛け、アパレルでも売れたのか?』(関谷有三/フォレスト出版)

 スーツに見える作業着として、コロナ禍で「WWS(ワークウェアスーツ)」が人気を集めた。商品を成功に導いたのは、株式会社オアシスライフスタイルグループの代表取締役・関谷有三さんだ。

 栃木県の田舎にある家業の水道会社を立て直した関谷さんは、これまで、タピオカミルクティブームを牽引した「春水堂」の経営や、WWSを手がけるなど数々の実績を上げ、今やヒットメーカーとして注目されるひとり。そんな関谷さんの著書『なぜ、倒産寸前の水道屋がタピオカブームを仕掛け、アパレルでも売れたのか?』(関谷有三/フォレスト出版)は、未来を作ろうと意気込むビジネスパーソンの背中をそっと押してくれる。

“信頼”と“自信”は時代が変わっても一生ものの財産に

 仕事の目的は無数にある。ある人は「ローン返済のため」と現実的な課題を口にするかもしれないし、またある人は「売り上げのため」と会社へ貢献する意思を語るかもしれない。もちろん人それぞれであるのは前提としながらも、リーダーとしての立場から、関谷さんはひとつの答えを提示する。

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 関谷さんは、仕事は「周囲からの『信頼』を得る」ことと「自分自身に『自信』を持つ」ことが究極の答えだと述べる。時代により、仕事に必要な技術やテクノロジー、人びとの価値観は変わっていく。それでも、信頼や自信は、時代がどれほど変わってもすべてを手に入れるための「魔法のカード」になるからだ。

 40代へさしかかった今でも「20代や30代の苦しい時代に得られた信頼や自信は、一生ものの輝く財産になった」と関谷さんは振り返る。その発言は、すべてのビジネスパーソンが“目の前の仕事へ打ち込むべき理由”にも通じる。

孔子の言葉に学ぶ年代ごとの仕事の“本質”

 中国の思想家・孔子はかつて「三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る」と有名な格言を残した。これは「30代で基礎ができて自立し、40代で迷うことがなくなり、50代で己の人生を知る」として、現代でも語り継がれている。

 本書を通して関谷さんは、この言葉には「いつの時代も変わらない本質」があると伝える。40代である今は、20代から30代にかけて培った信頼と自信をベースに「やりたいことだけに夢中で打ち込む毎日」を過ごしている。そんな日々について「とにかく楽しくて充実している」と、関谷さんは感想を述べる。

 そう言い切れるのは「20代に明日が見えない努力を続け、30代に結果を出してきたから」にほかならない。刺激に慣れすぎてしまうのか、仕事を続けていると“今、何のために頑張っているのか”と切なくなるときもある。ふと迷いが生じたとき、孔子の言葉は自分にとっての“仕事の意味”を改めて気づかせてくれる。

副業にも役立てたいマーケットインとプロダクトアウトのバランス

 コロナ禍は、あらゆる人たちの価値観を大きく変えるきっかけになった。3密回避のために職場のリモート化が推進されるなど、従来の働き方も見直されている。そんな中で、スーツに見える作業着「WWS」は大ヒット商品となったが、背景には、関谷さんなりのマーケティングマインドがあった。

 関谷さんは、商品やビジネスモデルを企画するときに「マーケットインとプロダクトアウトのバランスをおよそ4対6にすること」を大切にしているという。消費者の需要を汲み取るのは大切な一方で、重視しすぎると、すでにあるマーケットでイノベーションを起こしづらくなる。また、時間もかかり、資金や根気が続かなくなるリスクもある。

 たとえ、半数以上の人に反対されるプロジェクトであっても「マーケットがつくれた時の伸びは凄まじい」と関谷さんは述べる。副業解禁などで個人にもビジネスチャンスが広がっている今、参考にしてほしい意見である。

 関谷さんの経験に基づいた内容は、どれも説得力のあるものばかり。本書を読めば、ビジネスパーソンとしてのさらなるレベルアップを図れるはずだ。

文=カネコシュウヘイ

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