「あなたはどう思う?」にもう悩まない! 他人を気にする気弱さんでも提案できる5つのステップ

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公開日:2021/3/22

「気弱な人」の失敗しない話し方
『「気弱な人」の失敗しない話し方』(蔭山洋介/WAVE出版)

 自分の意見を人に伝えることが苦手な私にとって「あなたはどう思う?」の一言は昔から、緊張感を掻き立てる恐ろしい言葉だった。会社員時代には、言われるたびに心臓がドキドキし、話が支離滅裂になってしまうことも。頭と心の中には伝えたいことがたくさんあるのに堂々と意思表示ができず、他人に合わせてしまう自分がもどかしかった。

 だから『「気弱な人」の失敗しない話し方』(蔭山洋介/WAVE出版)に出会い、救われた気持ちになった。スピーチライターとして活躍する著者の蔭山洋介さんはこれまでに3000人以上を指導してきた話し方のプロ。スピーチトレーニングで、あがり症を直す手伝いもしてきた。

 そうした中で、自信がないことが原因で生きづらさを強く感じている人(=気弱さん)のあがり症はスピーチトレーニングでは克服が難しいことを発見。そこで、気弱さんと共に試行錯誤し、言いたいことが言えるコミュニケーション術を見つけていった。

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 本書では気弱さんの特徴を分かりやすく説明しつつ、「私はこう思う」と言えるようになるコミュニケーション術を紹介。無茶ぶりされた時や空気を読まない人への接し方など、悩みやすい場面を取り上げ、上手く切り抜けるコツを伝授している。

■気弱さんに必要なのは「守りのコミュニケーション」

 蔭山さんは、気弱さんとよく似ているHSPや愛着障害も取り上げ、共通点や違いを解説。その上で気弱さんに必要なのは、“自分を守るコミュニケーション術”だと訴えている。

 コミュニケーション術というと、セールストークのような「攻めの話術」を思い浮かべる人も多いことだろう。だが、気弱さんにとって重要なのは巧みな話術を身に着けることではなく、会話の中で発生する「同調圧力」にNOと言えるようになることだ。

 気弱さんは他人からお願いされると受け入れてしまいやすいため、「あなたもそう思うよね」や「これ、やってくれる?」という言葉に対し、「そうは思わない」「やりたくない」と返せる“守りのコミュニケーション術”を身に着ける必要があるのだそう。

 例えば、なるべく対面を避けてコミュニケーションを取ることも大切。一般的には対面、電話、メッセージの順にコミュニケーションは難しくなると考えられているが、気弱さんの場合は逆。メッセージ、電話、対面の順に同調圧力が上がるので、なるべく対面は避けるのがベター。対面時、空気に飲まれそうになった場合は一度持ち帰り、メッセージで返事をするのも手だ。

 だが、そうはいっても、どうしても対面でコミュニケーションを取らなければならない場面は出てくるもの……。そんな時は、自信がなくても「伝わる」5ステップを実践してみてほしい。

〈頭が真っ白になっても前に進める5つのステップ〉
ステップ1:共感する
ステップ2:期待される
ステップ3:提案する
ステップ4:お願いする
ステップ5:信頼貯金

 本書には各ステップがどう効果的なのかや、実践時に意識したいポイントなどが詳しく記されている。

 例えば、ステップ1の「共感する」は、本題に入る前に相手と仲良くなることで、その後の提案にスムーズに入れるようになるという効果があるそう。この時はアイスブレイクと呼ばれる手法を意識。相手との共通点を探す5W1Hの質問をし、返事に対して共感を示すと、リラックスして話を進めることができるのだ。

 自信や話術がなくても相手の心を掴めるこの5ステップは、気まずい空気に負けそうになった時のお守りになってくれるだろう。

 なお、本書には気弱さんを克服した人の体験談も収録。最終章には気弱さんを卒業する7つの習慣も記されているので、自分を変えたいと考えている方も、ぜひ参考にしてみてほしい。

 自分の人生なのに、いつもなぜか脇役になっている気がする……。きっと気弱さんは、そんなモヤモヤと闘いながら生きてきたことだろう。だが、これまでがどうであれ、これから先、主役として人生を謳歌することはできる。そのためにはまず自分が気弱さんであることを知り、他者とどんなコミュニケーションを取っていけばいいのかを理解することが大切だ。

 ここには、自己を犠牲にして他人を優先している気弱さんが知りたかった処世術が詰め込まれている。

文=古川諭香

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