恋心とうそが交錯する、超絶ラブコメディ『うそつきアンドロイド』の行方

マンガ

公開日:2021/3/27

うそつきアンドロイド
『うそつきアンドロイド』(阿東里枝/秋田書店)

 うら若き乙女の恋は、本人も気づかない絶大なパワーを秘めているもの。筆者は恋に一直線な若者を見ると、とても元気が出るアラサーです。

『週刊少年チャンピオン』で連載されている『うそつきアンドロイド』(阿東里枝/秋田書店)の主人公・渡嘉敷ゆずは、“恋とうそ”のはざまで驚異の成長を遂げていく、ハイパー女子高生。

 都立唐久里工業高校の入学初日、ゆずが自己紹介で「渡嘉敷ゆず…アンドロイドデス」という壮大なうそをついたことから物語がはじまります。

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 ちなみに彼女は、昔から家族と親友のみゃこちゃんの前以外では、どんなときも眉ひとつ動かさないので「アンドロイドなのでは」と昔からウワサされていました。が、れっきとした人間です。

 なにゆえ彼女はそんなうそをついたのか……。その理由は、中学時代からのゆずの想い人・西表淳くんの好きなものがロボットとアンドロイドだったから。そう、彼女は“好きな人の好みのタイプ”になるために、アンドロイドといううそをついてしまったのです。

 以下が、西表くんの自己紹介です。

「大内中出身西表淳! 夢は人が乗れるロボを作ること!! ロボットやアンドロイドが大っ好きだ」

 好みのタイプとは言っていませんが、アンドロイドが好きなのはたしか。一方の西表くんも元気いっぱいのアホな子なので、ゆずのうそを信じ「俺と友達になってくれい!!!」と熱く握手を求めます。ゆずは大好きな西表くんと友だちになれて有頂天になりますが、これが彼女の試練のはじまりでした。

「時に渡嘉敷、折り入って頼みがあるのだが」
「頼み…デスか?」
「変形…してみてくれないか…?」

 当然、ゆずは変形なんてできません……。しかしその後、学校内で不良にカツアゲされている(らしき)西表くんの姿を目撃し、彼を助けるために立ち上がるゆず。街のホームセンター「AGUNI」の一人娘・みゃこちゃんに道具を揃えてもらい、工業高校の教科書を見ながら“渡嘉敷ゆず戦闘モード”の製造を開始します。1週間の試行錯誤の末「ロケットパンチ」を携えて、西表くん救出に向かいました。

 もともと彼女は“西表くんと同じ高校に通いたい”というだけの理由で工業高校に進んだので、ロボットに詳しくありません。そんな彼女がたった1週間でロケットパンチを繰り出すようになるんです……。燃える恋心を感じますね。

 その後もゆずは、西表くんをガッカリさせないように奮闘します。学校に遅刻しそうなときに「学校までひとっ飛びする機能はないのか?」と西表くんに言われれば、ジェットエンジンを組み込んだローラーブーツ「トカシキ・ジェットブーツ」を開発。

 西表くんとの下校中にゆずの妹・渡嘉敷れもんに出くわしてしまったときは、とっさの機転で切り抜けます。ゆずに瓜二つのれもんを見て「姉妹機のアンドロイドか? ロマンか?」と胸をときめかせる西表くん。事情を知らないれもんが「ただの人間」と告白する寸前で口を塞いで甘い物で妹を買収し、妹アンドロイドの渡嘉敷れもんが誕生します。

 西表くんの笑顔が見たい、その一心ではちゃめちゃに頑張るゆず。彼女のひたむきさと、技術面での驚異の成長ぶりは回を重ねるごとに凄まじさを増していきます。はたして、ゆずのうそと恋はこれからどうなってしまうのか、目が離せません!

文=とみたまゆり