保護猫カフェってどんなところ? 新しい家族と出会って「いっしょに帰る」、命のリレーの物語

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公開日:2021/3/23

いっしょに帰ろう 保護猫カフェで出会った新しい家族の話
『いっしょに帰ろう 保護猫カフェで出会った新しい家族の話』(蘭木流子/ハガツサ ブックス)

 コロナ禍においてリモートワークが推奨され、自宅にいる時間が増えた人は少なくないだろう。ただ外出自粛もセットなので、人と会えない寂しさを紛らわせるためペットを飼うという向きもあるようだ。可愛らしさからいえばトップクラスの「猫」は特に人気なのだが、中には「自分はペットをちゃんと世話できるだろうか」と不安になる人もいると聞く。もちろん動物を飼うということには責任が伴うので、それなりの覚悟は必要だ。それもあって、それでもまだ一歩踏み出す勇気が出ないというならば、一度「保護猫カフェ」へ行ってみてはどうだろうか。『いっしょに帰ろう 保護猫カフェで出会った新しい家族の話』(蘭木流子/ハガツサ ブックス)は、保護猫カフェで「家族」との出会いを果たした人たちの体験談が綴られている。

 一般的に「猫カフェ」は知っていても「保護猫カフェ」は知らなかったという人は多いだろう。実は私も知らなかった。もちろん「保護猫」が何らかの理由で保護された猫たちであることは、ご存じだと思う。「保護猫カフェ」とはそういう猫たちと触れ合えるカフェということだ。そして「保護猫カフェ」の特徴として、里親を募集しているところが多いという。そういう「募集型」のカフェは「飼いたい人だけ歓迎」というところもあるが、ほとんどは「飼えない人」でもOK。むしろ売り上げは運営資金となるので、保護猫支援にも繋がるのである。

 そして保護猫カフェには「トライアル」という制度がある。これはカフェで保護猫たちと接するうち、心惹かれる猫と出会ってその子を「お迎え」したいと思ったとき、お試し期間として飼い主の自宅で一緒に暮らしてみる制度だ。トライアル前には審査もあるが、これによって飼い主と猫がそれぞれ問題なく暮らせるかどうかが分かる。本書で描かれている事例でも、初めて猫を飼う家庭がトライアル期間で慣れていき、無事にお迎えできたケースを紹介している。また何かトラブルがあった場合でも、カフェの店員が相談にのってくれるというのも心強い。

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 保護猫カフェは、さまざまな事情で保護された猫たちを温かく迎えてくれる店員たちによって支えられている。それだけにカフェスタッフには大変なことも多いのだが、特に辛いのがやはり猫との「死別」だろうか。本書で描かれているのは「FIP」という病気で、その致死率はほぼ100%だという。正直な話、愛猫を失う絶望感というのは、おそらく体験したことのある人でなければ理解できないと思う。悲しみや後悔といったさまざまな感情が一気に押し寄せ、しばらくは何も手に付かない状態になるのだ。そういう中で、多くの猫を世話している関係上、同時期に複数の猫が亡くなってしまうこともある。本書でも店長が「もうお店は続けていけないかも」とさえ思ったという。しかしそこで支えとなったのは、カフェの常連たちからの励ましだった。保護猫カフェに通うことは保護猫の支援になることはもちろん、店員たちの心の支えにもなっているのである。

 そういえば実家で、保護猫を飼っていたことがある。隣家のおばあさんが施設に入ることになり、一緒に連れて行けなかった猫を引き取ったのである。その猫は私を見るなり「モフれ」といわんばかりに腹をさらして寝転ぶような子だったが、なぜか絶対に「抱っこ」をさせようとはしなかった。元来の性格か、イヤな思い出があったのか、はたまた元の飼い主に操を立てているのか……。子猫から育てても個性はもちろんあるだろうが、保護猫にはそういった、体験から来る「何か」を持っている子は少なくない。もしかすると辛い記憶なのかもしれないが、そういうものすべてをひっくるめて受け入れてくれる「家族」を、保護猫たちは求めているのだ。だから飼える環境と飼いたい気持ちがある人は、ぜひ保護猫カフェを訪れてもらいたい。きっとそこには、心を通わせられる「家族」との出会いが待っていると思えるから──。

文=木谷誠

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いっしょに帰ろう 保護猫カフェで出会った新しい家族の話

著:
出版社:
ハガツサ ブックス
発売日:
ISBN:
9784910034065