『恋するMOON DOG』に『金色のマビノギオン』、山田南平最新作もう読んだ?

マンガ

更新日:2021/4/8

恋するMOON DOG
『恋するMOON DOG』(山田南平/白泉社)

 相手と向き合い、自分の想いを言葉にするのは難しい。でも、言葉を持たないペットや植物が相手なら、素直な気持ちを打ち明けられる──そういった経験を持つ人は多いのではないだろうか。『恋するMOON DOG』(山田南平/白泉社)に登場するキャラクターも、まさにそんな経験をしている人たちだ。

 主人公の佐々木律歌は、なぜか大型犬に懐かれるという特殊能力を生かし、トリマーになった25歳。順風満帆の人生を送っていた彼女は、ある日、道端でノーリードのドーベルマンを見かける。ノーリードの大型犬を放置することはできず、家に連れ帰ったところ、ドーベルマンは若い男の姿に変身。犬の姿から変化したので、当然全裸のその男にのしかかられて、律歌はすがるような目で懇願される──「俺と番(つがい)になってほしいんだ」。

 月を見ると大型犬に変化する人間時20歳のイケメン・狛山晃は、“犬化”する体質の家系に生まれたそうだ。彼は、犬化する子を作った者に家督を譲るという実家の跡継ぎとなるために、番を探しているという。彼の家の事情に協力するわけにはいかないが、半分犬の彼を無下にできないのも、犬好きの本能だ。しかたなく彼を一時的に「ペットとして飼う」ことになった律歌。人型のときは迫られ、犬型のときには癒されているうちに、彼女は晃に惹かれていく。

advertisement

 けれど、律歌が晃を想う一方で、彼は律歌のことを、番としてしか見ていないかもしれない。不安になるのは、すでに律歌が彼のことが好きだからだ。一方の晃も、家を継ぐことは譲れない、律歌を諦めることもできないという気持ちに翻弄される。しかし、互いを想いながら、その気持ちをうまく言葉にできずにいたふたりも、ある事件をきっかけに、きちんと自分の心を言葉にしていく――。

 最新刊の5巻でついに気持ちを確かめ合ったふたりは、朝も夜も、イチャイチャはノンストップ状態。つき合いたての甘い時間を過ごすうちに、晃は自分の心の傷となる、実家での過去に思いを馳せることになり……?

『恋するMOON DOG』が新展開を迎えると同時に、同じく山田南平作品の『金色のマビノギオン アーサー王の妹姫』(山田南平/白泉社)最新5巻にも、衝撃の展開が!

 女子高校生のたまきは、幼馴染の真と広則とともに訪れたイギリスで、5世紀のアーサー王伝説の世界に入り込んでしまう。ブリテンの次期君主となる青年・アーサーと同じ魂を持つ彼女は、昏睡状態の彼にかわり、前王の都・カーレオンで行われる戴冠式に出席するのだが、そこでアーサーの戴冠を阻止しようとする者の妨害に遭い、仲間をひとり亡くしてしまった。

 その弔いに訪れた聖域で、たまきは目覚めたアーサーと邂逅し、身代わりの役目を終える。他方、真は、魔術師マーリンの先見に乗じて、広則の首が刎ねられている光景を見た。亡くした仲間の仇討ちを手伝おうとする広則と、広則を亡くす運命に抗おうとする真、もっと仲間たちの役に立ちたいと願うたまき。だが、そんな3人のすぐそばまで、王国侵攻の影は迫っていて……。

 大型わんこ男子との甘々同居生活も、ドラマティックなファンタジーの世界も、どちらも存分に楽しめる“山田南平ワールド”。あなたはどちらから読んでみる?

文=三田ゆき

あわせて読みたい