疲れているのに眠れない、昼間の眠気が辛い……しんどい日に効く「ビジネスパーソンのための睡眠アイデア集」

健康・美容

更新日:2021/3/30

働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ
『働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ』(菅原洋平/翔泳社)

 最近、熟睡できなかったと感じる朝が増えてきた。もともと寝つきが悪いうえに睡眠の質もよくないようで、目が覚めるといつも体が重い。心身ともになんだかスッキリしないまま働き続けなければならないこの辛さは、一体どうしたら解消できるのだろう……。

 ひとりで、そう悩んでいたから『働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ』(菅原洋平/翔泳社)が目に飛び込んできたとき、コレだと思った。帯に記された「これならできるから始めよう」の言葉が頼もしく思えたのだ。

 著者の菅原洋平氏は、作業療法士。都内にあるクリニックで睡眠外来を担当するかたわら、企業を対象に研修を行い、従業員の睡眠を整えることで生産性を向上させたり、事故を防止したりする活動に取り込んでいる。

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 そんな経験を活かし、本書ではあらゆる睡眠の悩みを解決する快眠アイデアを紹介。脳科学と臨床に基づく、123のアドバイスは眠れない夜のお守りになってくれる。

睡眠の悩みは「光」「体温」「脳」へのアプローチで解決

 本書に記されているアドバイスは1~4ページで完結するため隙間時間でも読みやすく、自分の悩みに効く解決策を効率よく知ることができる。

働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ

 菅原氏によれば、睡眠にまつわる悩みは基本的には「光」「体温」「脳」に着目した行動を取り、生体リズムを整えていくと解決できるという。

 例えば、「光」のアプローチなら、メラトニンリズムを整えることができる。1日の長さを決めているメラトニンは朝に網膜から光を感知すると分泌がストップし、16時間後に増えるため、このリズムを強化すると朝にスッキリ目覚められ、夜、自然に眠くなるのだそう。

 メラトニンリズムは光を感知する時間帯によって前にずれるか後ろにずれるか決まるため光を浴びる時間帯を意識することが重要なようだ。

 こんな風に菅原氏は体温や脳に着目することの大切さも、具体的な理由を交えて解説。それを目にすると、今までなぜ自分が眠れず、スッキリと起きられなかったのかが分かる。

 こうして睡眠改善に必要なアプローチを知った後は、自分の悩みに合う起床アイデアや入眠アイデア、熟睡アイデアなどをチェックしていこう。本書にはユニークなアイデアが多数掲載されているのだが、その中でも個人的に驚かされたのは「耳から上の頭を冷やす」という入眠法。

働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ

 明日の仕事を思い、目を瞑ったまま、ぐるぐると考えごとをしてしまう夜の辛さ……。それを意外な方向から解決できるこの方法は目からウロコだった。

 なお、気になることが頭から離れないときは一度ベッドから出て、思考を紙に書き出してまとめておく(外に捨ててしまう)のもおすすめなんだとか。

働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ

 仕事に関する不安を抱え、ベッドの中で悶々としてしまう夜は、この入眠法をお守りにして、自分を苦しみから救ってみてほしい。

日中の睡魔に勝てる「眠気撃退アイデア」

 夜しっかり寝たはずなのに、昼間に眠気がきてしまう…。そんな悩みと日々、闘っているビジネスパーソンに嬉しい「眠気撃退アイデア」も、本書には多数掲載されている。

 例えば、社会人あるあるな「ランチ後に眠気がくる」という悩みを解消するには、食事が肝に。

働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ

 炭水化物を最初の一口にしない、という、食べる順番の工夫で手軽にできるこの方法は、明日から早速実践してみたくなる。

 なお、仕事のお供になってくれるカフェインを控えることも眠気撃退に繋がるそうだ。なぜなら、カフェインは睡眠中の歯ぎしりを引き起こし睡眠の質を落とす可能性があるからだ。本書によれば、「カフェインの作用は、眠るための睡眠物質の働きをブロックすることなので、『覚醒する』のではなく『眠れなくなる』という作用」なのだという。

働く人の疲れをリセットする 快眠アイデア大全 誰にでも効く光×体温×脳のアプローチ

 眠気防止に良かれと思っていたカフェインの意外な作用を知ると、いつものコーヒータイムを見直したくもなるだろう。

 他にも本書には、仕事や勉強などで良いパフォーマンスを発揮するためのアイデアや、夜中に目覚めてしまう人に効く熟睡法なども記されている。菅原氏が提案する快眠アイデアは、ただ睡眠時間を増やすのではないからこそ、多忙な日々を送っている方でも取り組みやすい。これを機に、「寝る」というプレッシャーから自分を解放する方法をさまざまな方向から模索してみてはいかがだろうか。

文=古川諭香

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