1人の少女が国を変える! 少女マンガの枠を超えた、圧倒的な大河ロマン

2012/2/13

BASARA (1) (小学館文庫)

ハード : 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:Amazon.co.jp/楽天ブックス
著者名:田村由美 価格:580円

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「生きろ。」
というのは『もののけ姫』のキャッチコピーですが、この『BASARA』に添えるに一番しっくりくるのもそれなのであります。田村由美さんの描く人物はすべて、「眼」が強くて印象的。射抜くような眼差しに、理不尽も憎悪も悔しさも、すべてを飲み込んでなお、起とうとする力がみなぎっていて、圧倒されるのです。

運命の子である双子の兄・タタラの影に隠れ、自分とはいったいなんなのかを問いながら成長した少女・更紗。けれど実は兄は文字通りの隠れ蓑、本当の運命の子は更紗であり、残虐な「赤の王」に兄と家族を殺され故郷を奪われた彼女が、兄を装い蜂起するところから話は始まります。タタラとして生きることを決め、赤の王を倒す日を夢見て、血生臭い戦場に身を投じた更紗。そんな彼女の唯一の救いである恋人、朱里が実は憎むべき赤の王、とくればもうそれだけでドラマティックな展開が期待できます。

ただしそんなロミジュリ的展開にとどまらないのがこの漫画のすごいところ。アクションシーンはもちろん、政治的駆け引き、膨大な数の登場人物が織り成す複雑な人間模様とそこで交錯する感情、それらを日本全国を舞台に繰り広げているのです。

現在連載中の『7SEEDS』もそうですが、田村さんの描く漫画はとにかく読んでいて苦しい。主人公が苦難に耐える様子も、現実に打ちのめされる絶望も、すべてが迫ってきて泣きたくなります。だけど本当に描かれているのは苦しみではなく希望と成長。読んでいるこちらも前を向いていけるような、一掬いの光をくれるのです。

ちなみに私、漫画はできるだけ手元に置かない主義なのですが(小説の量がハンパないのでなくなく手放す)、この『BASARA』だけは大事にひと揃え保管してあります。少女マンガの枠を超えたこの作品、ぜひ体感してみてください。


お兄ちゃんは運命の子、でもだったら私は…? 自分の存在意義を問う、幼き日の更紗

兄の首を撥ね、家族も故郷も滅ぼした宿敵・赤の王との出会い

血の飛び交う戦場でどんどん変わっていく更紗の葛藤も読みどころ

立場を脱ぎ捨てれば、善も悪もなくただ惹かれあう…2人の向かう先にも注目! (C)田村由美/小学館