心が疲れたら何回でも読みたい!ショタ悪魔がかいがいしくお世話してくれるヒーリングコメディ

マンガ

公開日:2021/4/10

社畜OLと悪魔ショタ
『社畜OLと悪魔ショタ』(白野アキヒロ/KADOKAWA)

 毎日を平和にストレスなく暮らすことができれば一番だが、現実には嫌なことや思い通りにならないことも多々ある。そしてつい「〇〇なんて滅びればいいのに」と相手を呪いたくなった経験がある人もいるはず。『社畜OLと悪魔ショタ』(白野アキヒロ/KADOKAWA)の主人公も、そんなストレスMAXな日々を送っている社畜OLだ。

 ブラック企業にこき使われなかなか家に帰れない生活を送っていた彼女は、ある時「悪魔召喚の書」を注文。半信半疑ながら、日頃の鬱憤を晴らすように「もうなんでもいいから滅べ弊社ァ!!」「出でよ悪魔ァ!」と悪魔を召喚する。するとなんと本当に悪魔が現れ――はしたのだが。現れた悪魔は、想像していた悪魔とはずいぶんと違うものだった。

 彼女が召喚した悪魔は、まだ幼い、見習いのショタっ子だったのだ。その悪魔は、契約よりもお料理やお掃除の方が得意だともじもじしながらも、「殺人・呪術なんでも言ってください!」と役目を果たそうと一生懸命。そんな悪魔の様子を見て、彼女は思わず「おいしいごはんが食べたい…」と一言。ここから、2人の少し変わった関係が始まる。

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 主人公は、休日出勤どころか1週間家に帰れないなんてザラにある生活。仮に帰宅できても、夜中まで家で仕事をしていることもある。そんな中で、留守中に部屋を片付け、帰宅時に温かいごはんが食べられるよう食事を準備し、いつでも笑顔で出迎えてくれるショタ悪魔。おまけに仕事の愚痴を受け止め、頑張りを認めてくれて、十分頑張っているからこれ以上頑張らなくていいよと言ってくれるのだ。

 また第17話では、風邪をひいても休ませてくれない主人公の上司に対し、「お電話が遠いようですのでもう一度申し上げますね 休みます。」と毅然とした態度で断りの電話を入れるなど、頼れる一面も見せる。そんな親身になって誠心誠意尽くしてくれるショタ悪魔に、主人公は次第に毒気を抜かれてメロメロになっていく。

 一方、悪魔側の世界は悪魔側の世界で、個別の名前ではなく番号で呼ばれているなど闇を感じる一面も。このショタ悪魔も「968番」と呼ばれていたようで、名前は存在しないという。主人公が番号にちなんで「クロハ」と名づけると泣くほど喜び、名前を呼ぶたびに嬉しそうにする。クロハが元はどんな生活を送っていたのか気になりもするが、このクロハが度々見せる健気さ、謙虚さもたまらなく愛おしい。こんな悪魔なら筆者だって召喚したいくらいだ。

 主人公のさり気ない気遣いにクロハがキラキラと目を輝かせ、クロハの得意な家事やお世話で主人公が癒される。こうして2人は、次第に持ちつ持たれつなかけがえのない関係を築いていく。2人の関係を見ていると、癒されると同時に、自分ももう少し人にやさしくしてみようかなという気持ちになれる。

 忙しい毎日で周囲とギスギスしている人、心身ともに疲れてしまっている人は、この作品を読んで心を潤してみては? 頑張りすぎな自分に気づいて、少し肩の力を抜くことができるかも。

文=月乃雫

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