蟲師ギンコが対面する、山の中のふしぎな「みどりもの」ワールド

公開日:2012/8/8

蟲師 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:漆原友紀 価格:540円

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2003年講談社漫画賞受賞作品。斬新さでは群を抜く、久々に「ギャ~」という感想を持った漫画です。蟲師(むしし)。恥ずかしながら字も読めませんでした。濃い緑に包まれた山の中でお話は展開してゆきます。日本の山や森林の、あの独特の精気と湿気を思い出す抜群の筆使い。蟲師のギンコは森の中で「蟲」が起こす不可解な現象を治して歩くのが彼の職業。

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では「蟲」とはなにかというと、「生命の原生体に近いものたち」。形を持たないその「蟲」が、山に住む人間に様々なわるさを働く。描く絵が生命を持ったり、耳が聞こえなくなって角が生えたり。見る夢がどんなものでも現実になってしまったり。いやはや、毎回の話の軸になる、ギンコが解いて、人々を治してゆくその「蟲のしでかすわるさ」のバラエティといい、発想のオリジナリティには舌を巻きます。

作者があとがきで曰く「時代の特定はしていない。鎖国し続けている日本とか江戸と明治の間にもうひとつ時代があるかんじ」と。センス溢れますねぇ!
この作品を投稿して、漫画家になるのをあきらめて職探しをしているときに、受賞のニュースを受け取ったという作者。こういうサクセスストーリーも魅力的です。作品の複雑怪奇さ、奇抜さ、でもそれを納得させてしまう画力と構成力に魅了された人々も多かったはず。アニメになり、映画になり(監督大友克洋、主演オダギリジョー、観たい!)、本やDVD、CD、ビデオゲームにもなった大ヒット作品。まずは漫画でどっぷりと蟲ワールドに浸ってから、ビデオゲームもおもしろそうですね。文句なしに、子供から大人までおすすめできます。


柔らかい角。純文学のタイトルみたい

コミックは白黒ですが、色を感じる作品も稀有では

ギンコは流しの蟲師なので、あちこちに出没

いろんな山のシーンが出てきますが、描き分けができていてすごい(C)漆原友紀/講談社