今秋映画公開の究極の発禁漫画。究極の哲学漫画。

更新日:2012/8/13

アシュラ (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 :
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:ジョージ秋山 価格:432円

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日本マンガ史上、最大の問題作と言っても過言ではないでしょう。主人公が実の母親に焼かれ、喰われそうになるところから始まる漫画を、私は他に存じません。

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ともかく、1度読んでしまったら最後。「自分なら果たしてどうしていたのか」という問いが頭の中に焦げ付いて、ブスブスと黒い煙を立ち上らせ続けることでしょう―――。

時は15世紀。戦乱による慢性的な飢饉により、人々が人肉すらも貪る時代。そんな地獄の中、狂女は死体をも喰らってアシュラを出産します。しかし、ついに飢餓に耐えかね、我が子をも食べようとする母親…。偶然の落雷で生き延びたアシュラは、誰に育てられることもないまま、タッタひとりで地獄の時代を生きていくのです。

「生まれてこないほうが良かった」

作中、このモノローグがよく登場します。獣のように人を殺して周り、喰う。同じ人間からも忌み嫌われるアシュラの心の叫びです。しかしそれでも、彼は生きていくのです。生まれてしまったが故に、生きていくのです。

冒頭のページから、てんこ盛りの死体が登場し、それを啄む蛆やカラス、そして人肉食。とにかく過激な描写が取り沙汰される本作ですが、これらは全て残虐趣味で描かれたものではなく、飢饉という現実と「腹減ったから食うし。死ぬし」という、シンプルでひどく人間的な思考による、合理的な行動の表現なのだと思います。道理には反しますが、生きるためには合理的なんですね。

自分ならどうするか。自分自身に感情移入(変な日本語ですが)して読んでみると、また違う味わいがあってオススメであります。
さて、過激過激といいつつも、2012年8月には、なんとアニメ映画として復活する本作。アシュラはなぜ、業を背負って生きていくのか。原作と合わせて、ぜひごらんあれ!


ハンターの眼

ガッテンガッテン!

母に焼かれるアシュラ
(C)2003 George Akiyama