経験ゼロでもしみじみおいしい料理が作れるように! 平野レミを義母に持つ和田明日香による、繰り返し作りたくなる地味ごはん

暮らし

公開日:2021/4/24

10年かかって地味ごはん。
『10年かかって地味ごはん。』(和田明日香/主婦の友社)

 新生活が始まり、これまでやったこともない料理に奮闘している人も多いはず。そんな中で料理に目覚めた人も、やっぱり料理は苦手…とあきらめモードに入っている人も、ぜひ手にとってみてほしい1冊がある。

『10年かかって地味ごはん。』(和田明日香/主婦の友社)は、料理愛好家・平野レミさんを義母に持つ和田明日香さんのレシピ本。明日香さんは現在、料理家・食育インストラクターとしてメディアなどで活躍しているが、そんな彼女も結婚する前はまったく料理ができない料理苦手女子だった。

 それでも夫と子どものために台所に立ち続けることで、いつしか料理に“自分流”がプラスされ、明日香さんならではの家庭の味ができていったという。そんな和田家の“名もなき地味おかず”を、惜しみなく公開したのがこのレシピ本なのだ。

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肉じゃが、豚汁、高野豆腐…。定番料理も“明日香風”!

 どの家にも家庭の味がある。ひとことで肉じゃがといっても、「うちは豚肉を使う」「オイスターソースを入れる」、と家庭によってちょっとずつ作り方が違うだろう。でもそういう家庭料理の作り方をイチから丁寧に教えてもらう機会って実は少ない気がする。

 今回の1冊について、「料理をゼロから始めた自分が今に至るまでの履歴書を書くような気持ちでまとめた」という明日香さん。結婚から今まで、10年かけてたどりついた貴重なレシピを伝授してもらえるなんて、なんだかかなり得した気分だ。

10年かかって地味ごはん。P.9-10

 掲載レシピの中には誰もが知っている和食の定番料理も多く、そこには明日香さん流のこだわりが満載。例えば肉じゃがなら「牛肉を落とし蓋がわりにする感じで全体に広げて20秒ほど煮、そのまま10分くらい置いて余熱で火を通したほうが肉がかたくならない」というような、料理好きでもマネしたくなるポイントが随所に登場する。

 調理工程も、「お肉やじゃがいもにとろとろの玉ねぎが絡む姿を想像しながら根気よく炒める」とか、「混ぜるとじゃがいもが崩れるかもしれないけどとろみがついてそれもまた美味しいと思う!」とか、友人に話しかけるように綴られているから、イメージしやすく作りやすい。

 その上、毎日ごはんが炊けるまでの30分ほどで夕食を作るという明日香さんのレシピには、時短で仕上げるコツまで詰まっている。今回は本書の中から忙しい日にもパパッと作れそうな2品に挑戦してみた。

りんごジュースのやさしい甘さが決め手! 「困ったときのプルコギ」(p.23)

10年かかって地味ごはん。

「“プルコギ”って呼んでごまかしてるけど、要は野菜炒め」という明日香さん。ポリ袋に牛薄切り肉とたれ(りんごジュース、醤油、オイスターソース、酒、砂糖、ごま油、にんにく・しょうがのすりおろし)を入れてもみ込み、できれば30分、せめて5分だけでも置いておく。フライパンに汁ごと入れて炒め、肉の色が変わったらにんじん、セロリを加えて1~2分炒める。最後に火を止めてニラとごま油を加えて混ぜれば完成。

 りんごジュースがいい仕事をしていて、ごはんに合う濃厚な味わいなのに後味がさわやか。レシピに記載されていた通り「フライパンという名のボウルで和えるみたいな気持ちで」炒めたら、たれが全体に絡み、野菜もシャキシャキに仕上がった。明日香さん曰く、野菜は何を入れてもだいたいおいしくなるとのこと。冷蔵庫の余った野菜を消費するのにももってこいのレシピだ。

レミさん直伝・ニラ醤油であえる「初鰹とトマト」(p.52)

10年かかって地味ごはん。

 続いては10分でできるお手軽サラダ。作り方は薄くスライスして水にさらした玉ねぎ、鰹のたたき、トマト、ニラ醤油、ごま油をボウルであえるだけ。ニラ醤油とは、平野レミさんから教わったという和田家の自家製調味料。細かく刻んだニラを保存容器に入れ、醤油をひたひたになるまで注げば、サラダやしゃぶしゃぶ、冷ややっこ、焼肉…といろいろ使える(冷蔵庫で1週間ほど保存が可能)。

 このニラ醤油が、鰹のたたきに本当によく合う! 鰹だけでも十分おいしいが、トマトが入ることでさっぱりとした酸味とうまみが加わり、箸が止まらなくなる。「大人はお酒と一緒につまみながら、子どもはもりもり食べられるおかずが自然と得意になった」という明日香さんらしい1皿だ。

 ひとりのお母さんが家族のために繰り返し作って育てたレシピには、栄養も愛情もたっぷり! そもそもゼロからスタートした明日香さんだからこそ気づいたポイントやコツは、料理に自信がない人にも共感できる部分がきっとたくさんあるはずだ。

調理・文=齋藤久美子

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