WEBマンガ総選挙7位! 陰キャ男子が美少女に!? 心ときめくラブコメ『恋する(おとめ)の作り方』

マンガ

公開日:2021/4/27

恋する(おとめ)の作り方
『恋する(おとめ)の作り方』(万丈梓/一迅社)

 ある日、Twitterに「幼馴染(♂)を女の子にしてしまった話」というマンガが投稿された。このツイートはどんどん拡散され大反響を呼び、現在、作者である万丈梓(ばんじょう・あずさ)さんのTwitterフォロワー数は14万人を超えている。

 その人気からこの作品はWEBマンガ雑誌「comic POOL」での連載に至った。タイトルは『恋する(おとめ)の作り方』になり、「おとつく」という愛称でファンに親しまれている。

 2020年9月、一迅社から同名タイトルで単行本化され1巻が発売、すぐに重版が決まりWEBマンガ総選挙7位に入賞した。満を持して今年4月、2巻の刊行に至った。

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 本作の内容を振り返ってみたい。

 3人の姉に囲まれて育ったイケメン高校生・御堂賢士郎(みどう・けんしろう)の秘密……それはコスメが好きなこと。姉たちのコスメを触るだけでは物足りなくなり、メイク技術を試したいという思いから、唯一自分の趣味を知る幼なじみの少年・日浦美果(ひうら・みはて)に頼み込んで彼にメイクをしてみた。

 すると、思いがけず日浦はとんでもない美少女、もとい激好みの姿に変身したのだった……。

 思わず見惚れてしまった御堂は、やがて日浦の服装もコーディネートするようになり、ますます可愛くなった日浦に恋心を抱くようになる。しかし日浦は、実はメイクをされる前からずっと御堂のことが好きだったのだ。

 女子の制服を着て通学することを決めた日浦を周囲は個性として受け入れ、むしろ陰キャで周囲と距離を置いていた彼は、じょじょにクラスに馴染み、メイクやヘアアレンジの話題で女の子たちと盛り上がるようになる。

 日浦は男性でありながら女の子にしか見えない、いわゆる「男の娘」である。最初は御堂に好かれたい一心でメイクをされるようになったが、だんだんと日浦自身も御堂にしてもらうおしゃれが楽しくなっていく。ある日、自分で頑張った結果失敗してしまったヘアアレンジを御堂がしてくれて、教室でもいつもと違う雰囲気をクラスメイトに褒められるシーンがある。

ただの自己満足かもしれなくても
誰が見てるってわけでなくても
たったこれだけで背筋がピンとして
…気持ちいい

 この後、彼は「これが自分でできてたら御堂ももっと僕のこと見てくれたかもしれないのになぁ」と感じるのだが、振り向くと後ろの席から御堂がじっと自分のことを見ていて、思わずドキッとしてしまう。御堂は自分でやった髪型が気になって……と言うが、もちろん日浦が気になってのこと。……と、このように、甘酸っぱく思わずときめいてしまうエピソードがたくさんある。

 2巻では、二人のクラスメイトで写真部の少女・宵待(よいまち)はとりが被写体としての日浦の魅力に目をつけ、御堂と日浦を写真部に仮入部させるという新展開が始まる。後輩の少年・明智銀之丞(あけち・ぎんのじょう)や恋敵になりそうな新キャラも登場して、見どころ満載だ。

 彼らの個性に魅せられながら、恋路のもどかしさにじれったさを覚える自分に気づいた。相手が同性でも異性でも、恋する登場人物たちはとても真っすぐで応援したくなるのだ。

 また、不思議なことに本作を読んでいるうちにだんだんとおしゃれをしたくなってきた。コロナ禍で外出が減り、メイクやヘアアレンジをあまりしなくなった人も多いだろう。たとえ出かけない日でも、自分のために一度おしゃれをしてみると気持ちが上向きになるのではないだろうか。

 そんな希望さえ感じさせてくれる本作。2巻の続きがWEBで追えるのも嬉しい。

文=若林理央