必ず読みたい伊坂幸太郎作品。泣ける青春&ミステリー小説

小説・エッセイ

公開日:2012/8/14

アヒルと鴨のコインロッカー

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 東京創元社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BookLive!
著者名:伊坂幸太郎 価格:648円

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「一緒に本屋を襲わないか」
大学入学のため引越してきた椎名は、アパートの隣人である長身の美青年河崎から初対面のはずなのになぜか書店強盗の話を持ち掛けられる。目的は1冊の広辞苑。その計画の裏には、河崎の大きな企みがあった。第25回吉川英治文学新人賞受賞、「このミステリーがすごい! 」「本屋大賞」など、当時さまざまな場所で話題になった青春&ミステリー小説。

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今でこそ知らない人はいない程に有名な伊坂幸太郎さんですが、私がこの本を読んだ当時は、まだそこまでメジャーな方ではなかったと思います。『陽気なギャングが地球を回す』での伏線の回収の仕方とおもしろさに感動してしまった私は、このアヒルと鴨~というよく意味がわからないけどかわいらしいタイトルに、わくわくしながら読んだのを覚えています。そしてそのかわいらしいタイトルからは想像できないほど泣いてしまったことも覚えています。

「このミステリーがすごい!」に選ばれただけあって、作品内に散りばめられたトリックにはやはり感動します。伏線、叙述トリック、やっぱりおもしろい! でも、この作品の売りはそこではありません。河崎の口から語られるブータン人ドルジとその恋人の麗子の物語。そしてそれを聞く椎名。椎名はこの河崎たちの物語を聞く側でしかないけれど、そこにはなぜか4人の友情みたいな物が生まれてくる。この4人の青春物語の切なさに、涙せずにはいられないのです。寂しい河崎の隣の部屋に、こんな優しい椎名が引っ越してきたのは、神様が河崎に与えてくれたプレゼントなんじゃないかな、と私は思ってしまいました。

この作品、2006年に濱田岳、瑛太、関めぐみで映画化もされています。こちらの映画も物凄く良いです。主人公の椎名を演じる濱田岳が本当にピッタリだし、そしてやはり映画も泣けます。このトリックの映像化は難しいんじゃと思っていましたがそれも上手にできてますし、かなりオススメな映画です。仙台在住の友達が、オール仙台ロケでものすごく喜んでおりました。懐かしいなぁ。


物語は、椎名が書店強盗をしている所からはじまる

ボブ・ディランの『風に吹かれて』がこの作品の重要なポイントです

仙台に引っ越してきた初日に、河崎に会ったことがすべてのはじまり