「教えない子育て」とは? 子どもの「失敗」から成長する機会を奪わない勇気の重要性

出産・子育て

公開日:2021/5/11

教えない子育て 正解のない時代に「実践できる子」を育てる
『教えない子育て 正解のない時代に「実践できる子」を育てる』(河村京子/日本法令)

 褒めて育てるのがいいのか、厳しくしつけるのがいいのか。雑誌やインターネットには、実にさまざまな子育て論が載っており、子育て熱心な親ほど、親として自分はどうすべきか、どうあるべきか真剣に悩みがちだ。子育ての極意があるのなら、誰だって知りたい。

『教えない子育て 正解のない時代に「実践できる子」を育てる』(河村京子/日本法令)は、子育てのオリジナルメソッド「母学(ははがく)」を提唱し、母学アカデミーを運営する著者がまとめた書。著者は2000冊以上という膨大な数の育児書や教育書を読破した結果、すべての本に共通する「根底の原理原則」に気付いたという。それは「教えないこと」。「教えない子育て」こそ、どんな家庭でも再現できる唯一絶対にして最高の子育て法だという。

「教えない子育て」とは、どのように実践するのだろうか。例えば、忘れ物をする子どもに、親は頭を抱えがちだ。ハンカチ、宿題を忘れる。水筒を玄関に置いて学校へ行ってしまう。親が「忘れ物はない?」「きちんと持った?」と再三言っても、子どもは忘れて行ってしまう。もはや、子どもにとってはただのBGMなのかもしれない。親は虚しくなるも、“子どものために”言ってしまう。

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 しかし、ここで本書は、親に「教えない勇気」を求める。確かに、忘れ物をすれば、子どもにとっては具合が悪い状況が待っているかもしれない。だが、それも経験になる。忘れ物をすれば悪い状況がある、という経験に自ら浸ることで、次からは親に甘えるのではなく、自分で緊張感をもって忘れ物チェックをするようになる、という。

 ただし、失敗が実になるとはいえ、次の2つの場合は、失敗しないように教える必要がある。

1 命の危険がある場合 
2 他人に重大な迷惑をかける場合

 子育てに熱心な親ほど、「何でもていねいに教えてあげるのが良いこと」と思いがち、と本書。しかし、「何でも教える子育て」は、子どもが受け身になり、将来的には自分で責任を取れない大人になってしまう可能性が高くなる。子どもが「失敗」という経験を通して成長する機会を奪わないこと。それが「教えない子育て」の根本的な考え方であり、だが実践するのは難しい子育て法だと本書は述べている。

 本書には、前述の「忘れ物」以外にも、例えば「公園に行っても、遊び方は教えない」「何もすることがない時間を与え、『何をしたらいい?』と聞いてきても、することを教えない」「『なぜ◯◯は△△なの?』と聞いてきても、『なぜだろうね、どう思う?』と、知識を教えない」など、「教えない子育て」の事例がいくつも紹介されている。

 本書には、すぐに使える子育て術が豊富に紹介されている。さっそく本書を読み、「教えない子育て」を取り入れてみてはどうだろうか。

文=ルートつつみ(https://twitter.com/root223

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