「原因を自分のなかに探してしまう」「マウンティングされやすい」「LINEの返信ができない」…タイプ別人間関係攻略法!

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更新日:2021/6/14

「職場で機嫌の悪い人がいると気になる」「人と長時間一緒にいると、疲れてしまう」「小さなミスに気づいて仕事に時間がかかる」…そんな人は、些細な変化を敏感に感じとってしまう繊細さん(HSP/Highly Sensitive Person)かもしれません。と、解説するのはカウンセラーの武田友紀さんの『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』(飛鳥新社)だ。本書は発売から約3年経った今も売れ続け、50万部を突破している。

「気にしすぎだよ」「考えすぎじゃない?」「そんなの、誰だって多かれ少なかれ我慢してることだよ」なんて言われてぐぬぬとなったり傷ついたりしたことのある人たちの多くが、この本を手にとって救われたことだろう。だが、「繊細さん」という言葉が浸透しつつある今も「そんなの、いいわけだ」と言ってくる人もいるかもしれない。あるいは「自分も細かいことが気になっちゃうし考えすぎてしまうけど、繊細さんってほどじゃないし、やっぱり我慢が足りないのかな…」なんて気に病んでいる人も多いのではないだろうか。

①HSP(繊細さん)というほどじゃないけど、人付き合いに疲れがちで生きにくさを感じている人へ

 そんな人にはぜひ『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』(時田ひさ子/フォレスト出版)を読んでみてほしい。

 なるべく誰に対しても公平でいたい、場の空気を乱したくない、自分に対しても他人に対してもできるだけ誠実でありたい、という気持ちが強すぎるあまり、お人好し・要領が悪いと言われがちな「かくれ繊細さん」。一方で、ネガティブになりやすく、さぼりぐせがあったり、完璧主義なくせに(だからこそ?)なにも成し遂げられなかったり……。良くも悪くも感性が一般的な枠からはみだしがち、だけどHSPほど何かが突出しているわけじゃない、ゆえに人とズレていることに自分でちゃんと気づけてしまい、自己肯定感が下がりやすい、という人は本書を読んで、自分の特性をフラットに理解してみよう。

⇒HSP診断シートはこちら

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②上司のあの一言が忘れられない…原因を自分のなかに探してしまう。まじめすぎて、なんでも責任を感じ、背負いこんでしまう人へ

 でもやっぱり繊細という言葉にはピンとこない、という人には『身勝手な世界に生きるまじめすぎる人たち 罪悪感を手放して毎日をラクにする方法』(イルセ・サン:著、枇谷玲子:訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン)。なにかにつけて「自分のせい」と思ってしまいがちな人に向けて、怒りや恐怖心を正しく受け止める方法や、責任感との付き合いかたなどを教えてくれる一冊。自分が悪くないとわかっていることでさえ、「もっとこうしていたら……」と原因を自分のなかに探してしまう人、けっこう多いのではないだろうか? 不合理な罪悪感を手放して、人の目を気にしすぎずに人と付き合うにはどうしたらいいか、心理療法士である著者が、原因をひとつずつひもときながら解説してくれる。

③相手のことを考えすぎて、LINEの返信もできない! という人は?

 さて、自分の特性がわかったところで、実践編である。コミックエッセイ『生きやすい』(菊池真理子/秋田書店)は、「どんなに好きな相手とでも、人と会ったあとは疲れてしまう」「怒りが伝えられない」「相手を不快にさせないため話をあわせていたら、どんどん嘘が膨らんでしまう……(罪悪感)」など、人に嫌われるのをおそれすぎたり、自己犠牲の精神が強かったりするせいで、さまざまに発生する“めんどくさい自分”との付き合い方を描いた一冊だ。

 たとえば「LINE既読スルー」&「自分から連絡ができない」問題。返事をどうしよう、と考えているうちに時間が経ってしまったり、自分のこんな些細なことで相手をわずらわせるのは…とか、こんなの送ったら変に思われるかも…とか、考えているうちにやっぱり時間が経ってしまったり。そんな自分を顧みて作者の菊池真理子さんは、「返せないかわりにこういうところで気持ちを示そう」「相手はそれほど自分のことを気にしていないはず」と少しずつ心の持ちようを変えていく。そのきっかけとなる人の言葉や、菊池さん自身の思考回路は、読んでいてきっと行動を変えるヒントになるだろう。

 精神科医の名越康文さん監修の『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』シリーズ(Jam/サンクチュアリ出版)も、あれこれ考えすぎて、気にしすぎて、感情を爆発させてしまいがちな人の心をラクにしてくれる一冊。4コマ漫画+解説なので、気軽に読むことができるし、単純に「わかる、わかるー!」と共感するだけでもラクになるだろう。

④素の自分を出せない。本当の自分がわからない。という人は…

 少しでも生きやすい方向に舵をきるため、さまざまな人の話に耳を傾けたり、専門家の本を読んだりしている菊池さんだが、『生きやすい』のなかでも紹介されていた『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(平野啓一郎/講談社)は、相手によって見せる自分が変わる(分人)のは当たり前である、そのすべてが「本当の自分」なのである、ということを説いた一冊。ありのままの自分でいたい、個性を大事にしていきたい、という欲求を肯定しながら、「いつも同じ自分」でいることは、実はストレスフルであるとし、自分を規定された個人ではなく分人ととらえることでコミュニケーションを円滑に心地よくまわしていくすべを教えてくれる。

 もう一冊は、『この世の中を動かす暗黙のルール 人づきあいが苦手な人のための物語』(岡田尊司/幻冬舎)。著者の岡田尊司さんは、愛着障害や発達障害といったさまざまな“生きづらさ”を抱えた人たちについての本を書いてきた精神科医。とある病院で出会った老人に、人生を救われていく青年の物語を通じて、本書は人付き合いをうまくまわすためのルール(コツ)を教えてくれる。物語調のほうが読みやすい、という人におすすめだ。

⑤ナメられやすくて、マウンティングされやすい! 嫌な人からはどう逃げればいい?

 気の持ちようを変えたところで、他人が変わってくれるわけではない。強く出られないのをいいことにマウンティングしてくる同僚や、自分の感情や都合で好き放題言う上司や姑……。接するだけで心が削られる人たちからは、逃げるしかない。でもどうやって? そのひとつの答えが記されているのが『私を振り回してくるあの人から自分を守る本』(Joe/WAVE出版)だ。

 大事なのは心のままに動くのではなく、心の「ために」動くこと。必要なのは誠実に接することではなく、相手を“いなす”ための技術。たとえば飲みの誘いや仕事の無茶ぶりをどうしても断りたいときは、「言葉は『短く、言い切る』『爽やかに、はっきり言う』が基本」「無理じゃなくても『無理』と言う」「一瞬、考えるフリをする」など。なかには「ニコニコじゃなくニヤニヤする」とか「『第三者』に対して怒ってみせる」とか、えー? そんなのアリなの?? という言葉も飛び出してくるが、読めばどれも納得のテクニック。そしてそのすべては実践できなくても、心構えをインストールするだけでずいぶんと行動も変わってくるはず。「ナメられやすい」「マウンティングされやすい」「損な役回りを押し付けられやすい」という悩みからどうしても脱却したい人は、心して読むべし。

 大事なのは自分が「(かくれ)繊細さん」かどうか、ではなくて、自分を生きづらくさせている原因を知ること。その原因をどう取り除けばいいのか、実践しやすい対処法もきっと人それぞれにちがう。おそれずに、自分の心を守ることだけを考えて、ぴったりの本を見つけてみよう。

文=立花もも

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