好きなのは、娘じゃなくてママの方!? 年の差10歳以上の超純愛ラブコメ!

マンガ

公開日:2021/5/19

娘じゃなくて私が好きなの!?
『娘じゃなくて私が好きなの!?』(東鉄神:漫画、望公太:原作、ぎうにう:キャラクターデザイン/白泉社)

 仕事でも趣味でも家事でも育児でも、真っ直ぐな気持ちで何かに向き合っている人は魅力的に見えるもの。特に損得勘定なしに大切なものを思える強さは、本人だけでなく、周囲の人々まで夢中にさせてしまう。『娘じゃなくて私が好きなの!?』(東鉄神:漫画、望公太:原作、ぎうにう:キャラクターデザイン/白泉社)は、主人公のそんな人柄が引き寄せた、超純愛ラブコメを描いた物語。電撃文庫から刊行されているライトノベルが原作で、先日コミカライズ版も発売された注目作だ。

 本作の主人公は、働き始めたばかりの独身女性・歌枕綾子。綾子はある日、事故で姉夫婦を亡くしてしまう。姉夫婦には5歳の一人娘・美羽がおり、美羽を誰が引き取るのかと葬儀中に早くも険悪な空気が漂い始める。そんな中で、「―この子は…私が引き取ります」「姉さんの子は私が育てます!!」と声をあげたのが綾子だった。

▲美羽の前でもめる大人たちを前にし、綾子は思わず声をあげる

――それから10年。幼かった美羽も高校生になり、2人はすっかり親子らしくなっていた。そんな中で、美羽は幼馴染の男の子・左沢巧(呼称:タッくん)と仲が良い様子。これはもしかして、お互いのことが好きなのでは!? 付き合っちゃうのでは!? そんなことを考えてワクワクしていた綾子だったが――タッくんが思い続けてきた人は、美羽ではなく、なんと母親である綾子の方だった。

advertisement
▲タッくんの思わぬ告白に混乱する綾子

 タッくんから「綾子さん 俺ずっとあなたが好きでした」「十年前からずっと…あなたの事だけが大好きです!!」と思いを告げられ、混乱する綾子。綾子はもう30代に突入しており、高校生のタッくんとは一回り以上も歳が離れているのだ。おまけに美羽という子どももいる。不慣れな育児と仕事を両立してきた中でお世話になったタッくんの両親に、何と思われるだろう……。綾子はそんなことを考え、どうにかタッくんを幻滅させようと奮闘するが――!?

 綾子にとって、タッくんは「お隣に住む子ども」で「美羽の友達」。今まで恋愛対象として見たことなどなく、告白されるその瞬間までずっと子どもとして扱っていた。しかしタッくんは、綾子が美羽を引き取ると宣言したあの日からずっと綾子を特別な存在に見ていたのだ。尊敬できる大人として、そして女性として。そんな中で“ある雨の日の出来事”があり、綾子を女性として好きになってしまった。

 そこからタッくんは、綾子に見合う男になるためずっと努力を重ねている。そして綾子も、そんなタッくんを次第に意識し始める。

 美羽を引き取ったあの日から、彼氏も作らず美羽を育てることだけを考えて生きてきた綾子。自分が女であることなど考えず必死だった綾子は、「大人の男性」への耐性などほとんどない。母親という立場と女である自分に揺れる綾子は、タッくんの思いが本物であると分かりつつも、どうしても彼の思いから逃げてしまう。でも――。

 ピュアな2人の恋愛はまだ動き始めたばかり。1巻ラストでは美羽も何かを企んでいる様子で、今後の展開も非常に気になるところだ。「最近恋愛してないな」「何かに夢中で人を好きになる気持ちなんて忘れてた」という人、「母性溢れる大人の女性に癒されたい!」という人は、『娘じゃなくて私が好きなの!?』で“ママジャンル”という新たな世界を覗いてみては? もしかしたら、そこから違った人生が始まるかもしれない。

文=月乃雫

あわせて読みたい