SNS疲れしている人に読んでほしい!「言いにくいこと」を言ってくれる猫の本

暮らし

公開日:2021/5/24

言いにくいことはっきり言うにゃん
『言いにくいことはっきり言うにゃん』(Jam/笠間書院)

 今や多くの人にとって欠かせないSNS。TwitterやFacebook、Instagram、YouTube、TikTokなど様々なツールがあるが、どのSNSでも「楽しめる人」と「SNS疲れしてしまう人」が出てくる。もちろん各SNSの特色との相性もあるが、その一方で、SNSとの向き合い方によるものも大きい。ではいったい、どんな心持ちで向き合えば、楽しく使うことができるのだろうか。

 そんなことを考えていたところ、『言いにくいことはっきり言うにゃん』(Jam/笠間書院)という本が目に留まった。本書は、モヤモヤしつつも見ないふりをしがちな「言いにくいこと」に焦点を当て、その解決方法をズバッと伝えてくれる。この本は特にSNS向けに出版されているわけではないが、Twitter発のマンガ「パフェねこシリーズ」で累計50万リツイート以上されている著者・Jamさんが手掛けているだけあり、SNSを利用するなかで生まれがちな悩みと通じるものが数多く挙げられている。

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「相手の気持ちを考えすぎる」

 例えば、「相手の気持ちを考えすぎてしまう」という悩み。もちろんこれは対面での付き合いでも起こることだが、顔の見えないSNSではより不安が募ってしまうもの。SNS上で繋がっている人の中には、そもそも顔はもちろん、どんな人なのかすら分からないことも多々ある。そんな中でやり取りしていると、ふと「もしかしたら怒っているのかも」「反応の仕方を間違ったかな」「相手は私に何を望んでいるのだろう」などとついつい考えすぎてしまうのだ。

 しかし本書によると、そんな考えは大抵「妄想」で、直接相手から聞いたこと以外は分からないと割り切った方がいいとのこと。たしかに思い返してみると、たまに覚えてすらいないようなことを「あれ、怒ってる?」と聞かれたり謝られたりして驚くこともある。もちろん相手を思いやる心は大切だが、必要以上に委縮したり相手の気持ちを悪く捉えたりするのは逆に失礼にもなりかねない。ある程度、自分自身の考えをはっきりと主張するのも大切なのだ。

「理想の自分を演じてしまう」

 相手のことを思う以外にも、「理想の自分を演じてしまう」ことで起こるモヤモヤもSNSでありがちなこと。オンラインでは虚像を作り上げやすい分、たまに現実の自分からかけ離れたキャラクターを作ってしまい立ち行かなくなる人を見かける。多少見栄を張るくらいならそれが活力になることもあるが、行き過ぎれば自分の首を絞めることになるのは当然だ。

 本書では、「ストレスを感じている」と思ったら、本来の自分を見つめ直し、本当にやりたいことは何か、どんな生き方をしたいのかを考える機会を設けることを勧めている。「理想になろうとしている自分」を続けるのではなく、本当に自分らしくあれる「自分の分身」くらいのテンションで楽しむ程度の方が、何だかんだで充実するのだ。たとえSNSでも、無理が過ぎれば続かない。

「自分にないものばかり求めてしまう」

 このほか、自分にないものを求めて自己嫌悪するパターンも多い。筆者もSNSを始めた頃は今よりもコミュ障で、オフ会に出かけたものの輪に入れず、主催者が輝いて見えたという経験がある。そして「この人はこんなに自然にできるのにどうして私にはできないのか」と壁にぶち当たった。SNSは現実では接点がないタイプの人と関わることも多く、その分自分とのギャップに遭遇しやすいのだ。

 しかしこれは、本書では「ほしいものが明確でいい」とプラスに捉えられている。「何がほしいかわからないと目標すら立てられないだろ?」と話す猫に、思わずなるほど……と唸ってしまった。言われてみれば、筆者はこの人のマネをすることから始めて、結果自分の意見を言えるようになり、自分を好きになることができてとても生きやすくなった。これは、SNSという場がなければ起こらなかったことだろう。

 このように、ちょっと使い方や向き合い方を変えるだけで、SNSはとても居心地のいい、自分にとってプラスの場になりうるのだ。せっかく現実とは少し違う仮想空間を得ているのだから、そこでまで疲れてしまうのはもったいない。この『言いにくいことはっきり言うにゃん』には、ほかにもSNSを使っていく上で持っておきたい考え方が多数紹介されている。SNS疲れを感じている人、いまいち楽しさが分からないという人は、一度本書でSNSとの向き合い方を整理してみるのもアリかもしれない。

文=月乃雫

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