臓腑をえぐられるほど甘酸っぱい……!ツイッター発ラブストーリーの極限クライマックス『一途ビッチちゃん3』

マンガ

更新日:2021/6/1

『一途ビッチちゃん3』(色のん/KADOKAWA)

 色のん氏が描くツイッターで大人気のラブストーリー『一途ビッチちゃん』の最新3巻が5月27日(木)に発売された。

 一途ビッチという矛盾を孕んだネーミングに、未読の方は首をひねると思われるが、まあ読んでみてほしい。「ああこれが一途でビッチということか」とすぐに腑に落ちるはずだ。

 概念の詳述はさておいて、本作はいわゆる「両片想い」ものである。どこからどう見ても両想いなのに、あまりにもピュアなので(一途ビッチはピュアなのだ)、ちっとも関係が進展せず、見る者すべてをやきもきさせるのが、本作のアイデンティティともいえる。しかし、なんとこの3巻で、そのアイデンティティが崩壊する。

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「卒業」というタイムリミットを目前に、その両片想い関係がドラスティックに変化しはじめるのである。

 ああ切ない。大好きな相手だからこそ、関係性を変えるのが怖い。このような気持ちの覚えがある人も少なくないのではないだろうか。いまを大切にしたい気持ちと、それ以上を望む気持ち。相反する感情が起こってしまのは、しかたないことであろう。だって好きなんだもん。

 3巻ではもう一つ、甘酸っぱさの極北のようなストーリーが並行して展開する。一途ビッチちゃん(という名前ではなく「あゆみ」ちゃんというのだが)が愛する先輩に恋をする、もうひとりの少女の物語だ。

 2巻ですでに彼女は失恋している。登場してすぐに、多くの読者が彼女の恋は叶わないことに気づくいただろう。だって一途ビッチちゃんと先輩はどこまでも完璧に「両片想い」なのだから。彼女はいわば負けヒロインというやつだ。

 しかし、その負けヒロインっぷりが、あまりにも美しく、高潔で、そして臓腑をえぐられるほど切ない。これもまた真の恋愛。ビターラブストーリー好きは是非読まれたし。

 関係性の激変、負けヒロインの活躍、卒業……と盛り盛りな第3巻。糖分過剰ぎみな連載開始当初に比べると、クライマックスとなる3巻は、少しビターな色合いも混じりながら、恋愛とはこういうものだと突きつけてくる。なお今回もちょっとエッチなエピソードも健在なのでご安心を(?)。

 一途にだれかを大切に想うとはどういうことなのか。そこにどんな喜びと、苦しみが起こるのか。

 人と会うこともままらなぬ今だからこそ、まっすぐなラブストーリーに強く胸を打たれる。

文:mamiana