話題沸騰中の韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』が痛快のひと言! ダークヒーローが巨悪に立ち向かう濃厚ドラマ

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更新日:2021/5/29

ヴィンチェンツォ
Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

 Netflixで配信が始まってからランキング上位をキープし続けていた話題の韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』の最終話が先日公開され、濃厚かつダイナミックな物語が終幕した。『梨泰院クラス』のヒットもそうだが、昨今のNetflixオリジナルは「韓流といえばラブロマンス」というようなイメージを裏切るような、タフなストーリーで魅せる作品が目立つ。また、勧善懲悪的な、巨悪を倒す瞬間の痛快さも印象的なのが特徴だ。今作『ヴィンチェンツォ』もまさにそういった要素をふんだんに含んだ作品だった。

 物語は、主人公であるヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)が母国である韓国に戻ってくるところから始まる。ずっとイタリアのマフィアの顧問弁護士をしていたヴィンチェンツォは、敵対する相手に対して容赦を知らず、かなり暴力的な手段で対抗する。スマートだが、かなり残酷。彼が守るものが人道的なものではあるものの、その言動はダークヒーローそのものだ。

ヴィンチェンツォ
Netflixオリジナルシリーズ『ヴィンチェンツォ』独占配信中

 そして、そんな彼と最初は敵対しながらも、とある事件から利害が一致し協力をすることになった弁護士ホン・チャヨン(チョン・ヨビン)もまた一癖あるヒロインである。人道派の弁護士である父と敵対し、悪事を行っている製薬会社の弁護をしていた彼女は、気が強く、泣き真似がうまく、かなりタフだ。その狡猾さでいえば、ヴィンチェンツォと並ぶのではないか、というくらいにいい性格をしている。

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 冷徹な主人公とヒロインは、しかし味方になると心強い。彼らと敵対する大企業バベルグループと負けず劣らずの残忍さでわたりあっていく姿は痛快のひと言。

 当初は過去に依頼されていた「ビルの地下に隠した金塊を取り出す」ことを目的に帰国した彼は、そのビルがバベルグループによって地上げが始められ、違法な手段で買収されたことにより、バベルや巨悪な組織に肩入れをする法律事務所との法廷闘争へと巻き込まれていくことになる。内容だけ聞けば、かなりお堅いストーリー展開を予想させてしまうかもしれないが、物語の随所に挟まれる絶妙なユーモアが観ている私たちを適度にリラックスさせてくれる。シリアスなシーンと気の抜けた場面とのギャップもまたこの作品の魅力だ。

ヴィンチェンツォ
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 ヴィンチェンツォを演じる主演のソン・ジュンギは言わずもがな、ヒロインであるホン・チャヨンを演じるチョン・ヨビン、彼らが敵対するウサン法律事務所の代表・ハン・スンヒョクを演じるチョ・ハンチョル、汚い手を使うことを厭わない弁護士・チェ・ミョンヒを演じるキム・ヨジンなど、名脇役の演技も素晴らしく、作品のリアリティを高めている。

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 ドラマの制作は、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』や『ミスター・サンシャイン』、『愛の不時着』など人気ドラマを手がけてきたスタジオドラゴンだ。また、昨年話題になったドラマ『梨泰院クラス』で主人公の敵役であったユ・ジェミョンが、本作では心優しい人情派の弁護士を演じるギャップや、『愛の不時着』では、そのコミカルな姿が一躍注目を浴びた第5中隊のピョ・チス役を演じたヤン・ギョンウォンが、ビルの住人のうちのひとりで妻の尻に敷かれた質屋として登場をしたり、ヒロインの生存を信じ奔走した姿が印象的な保険担当者を演じたイム・チョルスが、今度は国家情報院のイタリア組織犯罪対策チームのチーム長役という重要な役所で登場するなど、韓流好きや最近の作品から韓流を見始めた人たちにとってはより面白く感じられる要素がちりばめられている。

ヴィンチェンツォ
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 ちなみに主演のソン・ジュンギは名作『太陽の末裔』が有名だろう。今作のダークヒーローっぷりとはまた違う一面を見ることができるので、ソン・ジュンギの演技に魅了された人は『太陽の末裔』もぜひ見て欲しい。

 お互いに汚い手を使うことに躊躇がないのは、いっそ清々しい。嘘のないガチンコバトルを見ているような気分になる。1話ごとの時間も長く情報量も濃密な上、総話数も20話となかなかのボリュームだが、それに見合うだけの骨太な作品だ。

文=園田もなか